発信を続け、
次のクライアントを探す

 前回、「横につながる知識」と書きましたが、クライアントの課題を解くというプロジェクトはめでたく終了したとします。そこで出した解や、その解を出すために勉強し考察した領域についての知識、さらに重要なのは、そこから別業界に横展開できるだけの課題認識、それを解く論理やストーリーをそのまま引き出しにしまってしまうということはもったいない話です。

 特にクライアントに提案した内容が画期的であればあるほど、その提案をその場限りで終わらせるのではなく、さらに探求を重ねて応用の効く理論や方法論を確立して、自分のものにすべきでしょう。

 もちろん、すべてがそうできるわけではありませんが、数多くのプロジェクトに関わっていくうちに、それこそ「これは行ける」「興味深い」と感じる勘が身につくものです。そうした分野に上手く出会ったら、その分野をさらに探求して新たな得意領域にすることです。

 そうして、その分野で十分にマネタイズできる(収益を生み出せる)ようになった状態こそ、「プロフェッショナル」と呼ぶことができるのです。もちろん、そうなるためには超速学習では無理で、年単位の時間が必要です。前回お話した、ある航空会社の依頼に端を発したCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント:顧客管理)の領域はその後、私にとって重要な専門領域の1つとなりましたが、そこに到達するまでに2年の期間を費やしました。

 そうなるためには、どうしたらいいでしょうか。私は基礎研究を担うような純粋な研究者ではありません。あくまでもビジネスパーソンであり、皆さんと同じように売り上げを伸ばすことが求められる立場でした。

 そのため、その分野の研究を続けるためにはクライアントからの発注が必要でした。しかし、ただ発注を待っていても、都合の良いプロジェクトが来るはずなどはありません。こちらから発信をしていき、潜在需要を喚起しなくてはなりませんでした。

 先の航空会社のプロジェクトで得た知見を最大限活用しました。「二八(ニッパチ)の原理があるじゃないですか」「これからはリピート客の育成が大切です」「そのためにお金を投じることが、実は新規客を獲得するよりもずっと効率もよく、売り上げや利益に対するインパクトも大きいのです」などと、ことあるごとに顧客候補となる企業に提案をしていきました。

 その結果、興味を持ってもらえれば、プロジェクト化の可能性が広がり、幸運にも受注につながれば研究を継続することができます。同一業界の2社目、あるいは2業界目における実地研究です。新たな業界研究を進めると、当然、新たな発見があり、研究の質も深まるわけです。