11月上旬に相次いで発表された総合化学メーカーの中間決算(2018年3月期)は、08年のリーマンショック前以来の、ほぼ10年ぶりとなる空前の好業績に沸いている。
大手8社の純利益は、三菱ケミカルホールディングスが1004億円(前年同期比26.9%増)、信越化学工業が1107億円(26.6%増)、住友化学が685億円(256.3%増)、旭化成が708億円(33.9%増)、東ソーが403億円(62.0%増)、三井化学が381億円(37.5%増)、宇部興産が157億円(122.1%増)、積水化学工業が342億円(31.2%増)と、そろって過去最高を記録した。
当然ながら、各社が力を入れている石油化学基礎製品や誘導品(派生品)の種類は異なっている。だが、17年前半は欧米で設備トラブルが起きたり、中国で環境規制が強化されたり、米国に大型ハリケーンが上陸したりしたことから、全体的に需給バランスが引き締まった。そうした中で、全ての化学製品の大本となる「エチレン分解装置」をフル稼働できた日本勢は、想定以上の恩恵を受けたのだ。
過去の苦い教訓を生かす
とりわけ、今回の中間決算で目を引いたのは三菱ケミカルが注力するMMA(メタクリル酸メチル)だ。業界で「プラスチックの女王」といわれるアクリル樹脂の“素(もと)”となる原料である。