ソーシャルメディアで
情報が瞬時に広がる

 もしも、前回と前々回に紹介したVIVITA(ヴィヴィータ)の事業資金が尽きたとしましょう。そこで、僕が「500円ずつの募金をお願いします」とインターネット上に動画を投稿し、クラウドファンディングを行ったらどうでしょう。

 恐らくは、「その額で続けられるならいいよ」と協力してくれる人がそれなりに集まると思うのです。ただし、それが何人になるのかまでは読めません。どのくらい広まるのか、どのくらい資金が集まるのかも分からない。計画を立てようがないのです。

 しかしながら、一度輪が広がれば、お金を出す人だけでなく、「うちのを使っていいよ」と、無償でヒトやモノを提供する人が続々と現れることでしょう。

 想像しにくいかもしれませんが、活動領域が広がるにつれて、必要経費が下がっていくという現象が起こるのです。

 僕の周りではこのような現象が頻繁に起こっています。僕の支援している起業家の祭典「SLUSH(スラッシュ)」においても同様です。

 宣伝をしていないのに、回を追うごとにチケットがどんどん売れています。基本、参加者が楽しくなるように運営していて、それが参加者に伝わると「お金を出すよ」や「うちのを使っていいよ」と支援者が現れ、コストの構造が変わりました。

 事業への共感度を高め、共感者のコミュニティーを形成し、「セレンディピティー(偶有性)」を引き出すこと。それが複合的に結合すると、ささいな行動が徐々に大きな現象につながる「バタフライ効果」を生み出すのです。

 つまり、経営においては「人々のボランタリー(自発的)な力をいかに引き出せるか?」が重要な戦略になるということです。

 逆説的に言えば、事業計画が必要だったのは、「こんなことをやっています」というのが瞬間的に世界に伝わらなかった時代だったからなのです。

 ソーシャルメディアがなかったから、必要なリソースを自分たちで調達するしか方法がなかった。それも全て自分たちのお金でそろえなければならなかったのです。

 「事業をするにはお金がこれだけ必要で、実際それだけ費用を掛ければ、このリソースを調達できます」。そう社内外に説明するために、予算管理やスケジュール管理、プロジェクト管理といったやり方が機能しましたし、事業計画も必要だったのです。