現役世代は年金不安、退職世代は老後不安。今や、どんな世代にとっても「お金」の悩みはつきません。そして、貯金だけでは何年経ってもお金が増えないた め、いやおうなしに「投資」と向き合わなければいけなくなってきいます。それなのに「投資」で大事なことは誰も教えてくれないのです。
今回、特定の金融機関に属さない独立系ファイナンシャルプランニング会社、(株)生活設計塾クルーにおいて、中立な立場で15年以上にわたって3000件以上の家計をみてきた売れっ子FPの深田晶恵さんが、『「投資で失敗したくない」と思ったら、まず読む本』を発売(12月2日予定)します。発売前ですが、その本の中から、投資を始めるときに必ず知っておきたいことをご紹介します。

投資で失敗しないために!
まずは「投資をする理由」をはっきりさせる

 第1回目では、投資で失敗しやすい人の残念なケースをあげました。

 それをまとめると
1 「預貯金では利息がつかないからという理由で投資を始める人」
2 「まとまったお金は一度に投資先を決めてしまいたい人」
3 「高い金利や利回りに心が惹かれる人」
4 「リスクを取って投資を始めれば、いずれお金が増えると思っている人」
5 「長期投資すると、いずれ増えると思っている人」

  というケースです。

 自分もそうだったという人、同じようなことをしそうだという人も多いのではないでしょうか。

 これらのケースに当てはまらないようにするために、最初にはっきりさせておきたいのが「投資をする理由」です。

 投資の目的は人それぞれですが、大きくは、これから資産を形成していく「現役世代」と、退職金やこれまでに築いた資産を運用する「退職世代」に分けて考えられます。

 現役世代は老後資金など、将来のために投資したい、という理由があるでしょう。しかし20代~40代の人は、結婚資金や教育費など、近い将来、まとまったお金が必要になることがあります。

 数年先に使うお金と長期で運用するお金では適した商品も異なりますから、何年先に使うお金なのかを意識せずに投資してしまうと思わぬ失敗につながることがあります。そのためにも、投資の目的=なんのために投資するかを明らかにすることが大切なのです。

 一方、退職世代にあたる人は、そもそも投資で増やす必要があるのかを考えてみましょう。今あるお金は、公的年金収入で足りない分を補う大切なお金。まとまった額であるほど有利に増やしたいと思いがちですが、まったく運用しなくても90歳位までもつ、というケースなどでは投資する必要性は低いのです。

 とはいえ、私がお会いした人の中には、投資が好きだから老後も投資を続けたい、いろいろと関心を広げるためにも投資してみたいという方もいて、それも素敵なことだと思います。その場合も、なんのために投資するのかを意識することが重要です。

深田晶恵(ふかた あきえ)
ファイナンシャルプランナー(CFP)、(株)生活設計塾クルー取締役。1967年生まれ。外資系電器メーカー勤務を経て96年にFPに転身。現在は、特 定の金融機関に属さない独立系FP会社である生活設計塾クルーのメンバーとして、個人向けコンサルティングを行うほか、メディアや講演活動を通じて「買い 手寄り」のマネー情報を発信している。15年間で受けた相談は3000件以上。「すぐに実行できるアドバイスを心がける」のをモットーとしている。日本経済新聞、日経WOMAN、日経ビジネスAssocie等でマネーコラムを連載中。
おもな著書に、『30代で知っておきたい「お金」の習慣』、
『住宅ローンはこうして借りなさい・改訂3版』、
『住宅ローンにだまされるな!住宅ローン見直し編』、
『災害時 絶対に知っておきたい「お金」と「保険」の知識(共著)』、
『生命保険はこうして選びなさい・新版(共著)」(いずれもダイヤモンド社)、『女子必読!幸せになるお金のバイブル』(日本経済新聞出版社)、『年金以前の「定年後のお金」の常識』(講談社)などがある。
所属先:(株)生活設計塾クルー http://www.fp-clue.com/
ブログ:「お金のおけいこ」http://www.akie-fukata.com/
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