希望の党結成からわずか50日で、小池百合子代表(東京都知事)が辞任した。いわゆる「排除の論理」による支持急落で衆院選に敗北し、「都政専念」を理由に国政の舞台から降りざるを得なくなった。希望の党は、玉木雄一郎氏を新たな代表として選出した。
特別国会が開会したが、衆院選の圧勝で、与党は野党の委員会での質問時間を削る要求を強めている。従来は「野党8、与党2」の割合で質問時間が配分されていたが、自民党はより議席数に沿った配分が「民意」であるとして、「野党5、与党5」を主張した。野党の猛反発により、最終的に「野党2、与党1」で折り合った。
野党の質問時間削減は
首相の「心の病み」を若手が「忖度」しただけ
安倍晋三首相は、7月の東京都議会議員選挙での惨敗以降、「謙虚さ」を強調してきたが、衆院選の圧勝で、また権力を濫用する傲慢な姿勢に戻ったと批判されている(本連載第158回)。だが、筆者には首相の傲慢さというよりも、むしろ首相が野党の激しい追及に「心を病んでいる」ように見える。首相はほとほと参り、トラウマとなって逃げたいのではないか。
元々、安倍首相はシナリオに従って自分の考えをしゃべる時は非常に調子がいいが、国会論戦で追及を受けた時に、論理的な反論をすることは非常に苦手な人だ。はっきり言えば、今の野党の追及など、昔の「東西冷戦期・55年体制期」の野党の厳しさに比べれば、生ぬるいもいいところで、昔の百戦錬磨の首相であれば、「ぼかしたり」「すかしたり」「とぼけたり」、適当にノラリクラリとかわしただろう。
安倍首相が野党の追及に耐えられず、野党による政府追及の時間を少しでも減らしたいというのならば、それは首相になる政治家ならば当然身に着けているはずの「能力」が欠けているということだ。ただ、名門政治家一家に生まれただけで跡継ぎとして政治家になれて、周りにチヤホヤされて、担ぎ上げられてきた。簡単に若くして首相になり、ものの見事に経験不足を露呈して1年で退陣したが、その後引きこもりのようになっていたら、いつの間にかまた担ぎ上げられて首相に戻った。