営業マンが目指すべきは信頼関係の構築
理容室にはいろんなお客さんが来る。
事実、その中には、経営コンサルタントを名乗る人もいるけれど、彼らがどんな仕事をしているのか、オレは全く知らなかった。
営業マンの目がキラリと輝いた。
それは獲物を見つけた獣の目だ。男が金を持っていると睨んだのだ。
しかし、営業マンはその輝きをスッと消し去った。
商売っ気なんかギラつかせないほうがいいのだろう。
そんなものが見えたら、お客さんが逃げるだけだ。営業マンは当然、それを隠す方法も知っているのだ。
以前、別の営業マンから「本当の営業はモノを売ることではない」と教えてもらったことがある。
営業マンが目指すべきは「なんでも相談してもらえる信頼関係の構築」だ。
逆に、その信頼関係さえあれば、なんでも売れる。
自分が本当に売りたい商品のことは忘れずに、なおかつ、その気配を消すことができるようになったら、デキル営業マンへの扉が開いた瞬間なのだとも言っていた。
「外資系の?」と営業マンは、ポーンと男の胸元に直球を投げた。
「まあ、そんな感じです」と男はいなせるならいなして会話を終わらそうという感じで、曖昧な返事をした。