米ボーイング社のジェームス・F・アーミントン副社長(中央)は「FA18は実践配備ずみだが、F-35は開発途中段階だ」と牽制

「米ロッキード・マーティン社の担当者は、日程調整がつかず不参加となった」──。司会進行役の説明に記者たちは呆れた。

 11月16日、日本外国特派員協会で、今注目を集める「FX(次期主力戦闘機)の選定」に関する合同公開説明会が開かれた。主催者側は、受注合戦を繰り広げる3社、すなわちFA18/EFを推す米ボーイング社と、ユーロファイターの英BAEシステムズ社、そして最有力視されるF-35ライトニング2を有するロッキード社に参加を要請した。だが、ロッキード社だけが来なかったのだ。

 欠席の背景には、「ロッキード社の“焦り”がある」(防衛ジャーナリスト)と言われる。

 ロッキード社のF-35は、敵に発見されにくいステルス性などの能力でほかの2機よりも技術的に進んだ“第5世代戦闘機”と喧伝され、日本の防衛省でもそのように位置づけてきた。だが、一方でF-35だけが開発中の機体であることから、スケジュールの遅延が懸念されていた。さらに最近では、新たな問題が指摘され始めた。

 米上院議会の軍事部会の席などで、あらためてF-35計画は当初の想定よりも開発コストが大幅増になる見込みが明らかにされた。その影響で、現時点で2015年とされる共同開発国への納入(初期作戦能力の獲得)が間に合わないのではないかとの疑念の声も出てきた。仮に、そうなると、日本の防衛省が次期FXに求める16年度中という納入期日も大きく影響を受ける可能性が高くなる。

 これまで強気の姿勢を貫いてきたロッキード社にとって、FX選定で微妙な時期を迎えた日本で懸念がムシ返されるのは、都合が悪い。加えて、実戦経験が豊富な改良型FA18やユーロファイターと実際の性能差を比較して細部を追及されれば、なお分が悪くなる。だから、同社は説明会への出席を拒んだと囁かれているのだ。

 防衛省は、ロシアや中国が第5世代戦闘機を開発中であるとして、それらの脅威に対抗するべくF-35を望んでいる。それでも欧米の3社を競わせたのは、F-35に高得点を取らせる条件設定でありながら、選定過程をフェアに見せるためだったという観測がある。

 たとえば、各社が提出した提案書では、1人乗りの機体しかないF-35に合わせ、各社に1人乗りの機体を使う運用計画を提案せよと指示しているのだ。常に、高額で最新型の機種を欲しがる防衛省の思惑が透けて見える。

 航空自衛隊が試乗可能なテスト飛行用の機体が存在しない問題を抱えながら、F-35は逃げ切れるか。それとも、相対的に割安なFA18やユーロファイターの大逆転となるか。はたまた、12年度の概算要求で計上した約550億円の使い道の再検討に着手するか──。

 12月中には最終的な結論が出ると見られる。1機当たり100億~200億円の税金を投じる高額の買い物だけに、その結論と説明に注目が集まる。

 (「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)

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