「民間航空のゲームチェンジャー(競争状況を変える者)」──。全日本空輸(ANA)の伊東信一郎社長は10月26日、ボーイング787を世界で初めて営業就航させるに当たって、同機をこう表現した。
ANAの発注をもってB787の生産をボーイングが決定してから7年。開発が難航し、受け渡し日が何度も延期されたが、待った甲斐があった仕上がりのようだ。
金属に代わり炭素繊維複合材料を大量に使ったことで、軽量で機密性が高い。
燃費効率20%向上は、燃料高騰が悩みの航空会社にとってそうとうの競争力アップ要因だ。航続距離が延びて、国際線拡張に当たっての強力な武器になる。
機内気圧が高めに設定できるようになり、飛行高度の上下に伴う不快感が激減された。同機指定の旅客が増えるかもしれない。
B787の開発により、旅客機メーカーの競争も影響を受けている。競合エアバスは、新型機の開発を変更。ボーイングの開発を一部担って経験を積んだ三菱重工業は、独自旅客機を開発した。
ANAは来年、もう1つの武器を手にする。外資と共同出資のLCC(格安航空会社)が2社、営業を開始するのだ。