そうした問題も考慮した上で、「1日の延命に1億円かかるならダメだが、1年の延命に100万円かかるなら、保険適用を認めよう」といった線引きを、政治が行う必要があるのだ。

 余談だが、山奥の雪かきなどは、バブル崩壊後の長期不況の中で、失業対策という意味合いを持っていたため、筆者は特に反対していなかった。しかし今、少子高齢化による労働力不足の時代を迎えていることを考えると、予算面でも労働力の再配分という意味でも、雪かきをやめて耐震工事をやってほしいと思う。山奥の住人には大変申し訳ない話だが、それが政治の判断というものであろう。

 なお、本項は拙著「経済暴論: 誰も言わなかった『社会とマネー』の奇怪な正体経済暴論」の内容を、さらに発展させて紹介したものである。本のタイトルそのものの“暴論”ではあるが、避けて通れない議論だと思い、勇気を持って提言するものである。読者が筆者に賛同するか否かはさておき、多くの人々がこの問題を考える契機となれば幸いである。

(久留米大学商学部教授 塚崎公義)