受験英語に共通する「モジュール積み上げ」の考え方
もっとも、僕は文法学習を否定する気はありません。J PREPでも、中高生向けの授業では、意外と多くの時間を文法学習にあてています。
ただし、中学生から本格的に学びはじめた生徒の場合、だらだらと中高6年間をかけるのではなく、中学3年間で大学受験レベルまでの文法知識を一気に網羅します。そのあとで、多読や作文、会話練習などをしながら、知識を定着させていくのです。
SLAの研究でも、学習者がある程度の年齢を過ぎているなら、音声のインプット/アウトプットだけでなく、母語も用いたロジカルな理解を組み合わせたほうが、学習効率が高まることがわかっています(Spada and Tomita, 2010; Norris & Ortega, 2000; Lightbown & Spada, 2013)。
ですので、ここで問題にしたいのは、文法を学ぶことそのものではありません。そうではなく、「文法だけ」を抜き出して学ぶ学習モデルのほうです。
とくに、テスト対策として教えられる「英語」では、こうした部分からのアプローチが支配的です。
いきなりまとまった文章を与えるのではなく、とにかく「be動詞」「不定詞」「現在完了形」「英単語」といったモジュール(部品)を子どもたちに植えつけ、それらを使って短文の不自然な寄せ集めを「解読」させているのです。
「昔よりはマシになった」とよく言われる大学受験のセンター試験「英語」ですら、いまだにモジュールの知識を問うものが大半を占めています。長文読解とは名ばかりの、「部品」がわかれば解ける問題がほとんどで、「文章の概要を大づかみに把握する力」には重きが置かれていません。