ベストな学習法は「時期」によって変わる!
「『文法から学ぶな』と言っておきながら、『英語漬けもダメ』って、なんだか矛盾しているような……。結局、どっちがいいの?」
ここまでの連載を読んでこられた方は、こんな疑問をお持ちかもしれません。この2つの原則が矛盾しているように思えるのは、これまでの連載がずっと、3~18歳の学習を"ひとくくり"にして語ってきたからにほかなりません。
SLAの知見はあくまでも第二言語習得の「原理」でしかありませんから、実際の指導にあたっては、学習者の年齢に応じた「アプローチ調整」が欠かせません。どんな子にも、ずっと同じことをしていればいいわけではないのです。
したがって、前述の矛盾は学習時期という軸を加えることで解決します。
ごく大づかみに言えば、子どもがまだ幼いときには文法を介さずに英語をかたまりで学ぶ方法がより効果的であり、成長が進むにつれて、文法解説も交えた概念的な理解の有効度が高まっていくのです。
(本原稿は斉藤淳・著『ほんとうに頭がよくなる 世界最高の子ども英語』から抜粋して掲載しています)
J PREP斉藤塾代表/元イェール大学助教授/元衆議院議員。
1969年、山形県生まれ。イェール大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。研究者としての専門分野は比較政治経済学。ウェズリアン大学客員助教授、フランクリン・マーシャル大学助教授、イェール大学助教授、高麗大学客員教授を歴任。
2012年に帰国し、中高生向け英語塾を起業。「第二言語習得理論(SLA)」の知見を最大限に活かした効率的カリキュラムが口コミで広がり、わずか数年で生徒数はのべ3,000人を突破。海外名門大合格者も多数出ているほか、幼稚園や学童保育も運営し、入塾希望者が後を絶たない。
主な著書に、『ほんとうに頭がよくなる 世界最高の子ども英語』(ダイヤモンド社)のほか、10万部超のベストセラーとなった『世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法』(KADOKAWA)、『10歳から身につく問い、考え、表現する力』(NHK出版新書)、また、研究者としては、第54回日経・経済図書文化賞ほかを受賞した『自民党長期政権の政治経済学』(勁草書房)がある。