早くから親しむのは悪いことではない

したがって、早期教育神話は、「母語」の習得に関する「仮説」を、「外国語」の文脈で「絶対視」しているという意味で、二重に間違っています

英語を学ぶのは「早ければ早いほどいい」とは限りませんし、学びはじめるタイミングに「手遅れ」もありません。実際、専門家たちの世界では、「外国語習得については臨界期仮説は当てはまらない」と実証した研究もあります(Munoz,2006)。

一般的に言われる英語の臨界期は、じつは“あってないようなもの”なのです

とはいえ、早くはじめることにも意味はあります。とくに発音などに関しては、子どものころからはじめた学習者のほうがかなり有利です。「音から」英語に入っていく力、英語の「かたまり」を受け入れる力は、小さな子どもにはかないません。
しかも小学校低学年くらいまでであれば、ためらいなく英語の世界に飛び込み、それを楽しもうとしますから、モティベーションなども保ちやすい面があります。

一方、小学校高学年から中学生くらいになると、心理的なハードルがあらわれます。J PREPの子どもたちも、キッズクラスの生徒たちは、こちらが何か質問をすると同時に「Yes!」「Me, me!!」と一斉に手を挙げますが、小学校高学年~中学生のクラスになると、途端にシャイな子が増えます。

人前でフォニックスの練習をやるのを恥ずかしがったり、異性の目を気にして発言しなくなる、声が小さくなるといったことが起きます。学校の授業で「日本式英語」の発音に触れはじめると、本格的な発音を恥ずかしがるようにもなるのでとても苦労します。

とはいえ、これは年齢特有の問題ですから、致し方のない部分もあるでしょう。僕も思春期の娘を持つ父親として、そのあたりの難しさは日々痛感しています。その意味で、小さいころから本格的な英語に親しませることにも、よい面はあるだろうと思います。