「子どもに英語をマスターしてほしい!」――そんな願いを持っている親御さんは少なくないだろう。しかし、そんな人でも「英語がペラペラになればそれでいい」などとは思っていないはず……。むしろ、本当にわが子に身につけてほしいのは、世界のどこでも生きていける頭のよさ、つまり「本物の知性」なのではないだろうか。
実際、応用言語学や脳科学、教育心理学などのアカデミックな研究では「外国語学習の機会が、子どもの知力やIQを高める」といった知見が蓄積されつつあるという。
いま、こうした科学的根拠(エビデンス)に基づいた指導によって、子どもたちの英語力を着実に伸ばし、人気を集めている英語塾があるのをご存知だろうか。元イェール大学助教授の斉藤淳氏が代表をつとめるJ PREPだ。
本連載では、同氏の最新刊『ほんとうに頭がよくなる 世界最高の子ども英語――わが子の語学力のために親ができること全て!』から、一部抜粋して「ほんとうに頭がいい子」を育てるための英語学習メソッドを紹介する。

何歳が「学習のリミット」なのか?

「子どもには言葉を学ぶ力が備わっている」という話の裏返しで、「ある一定年齢を過ぎると、もうバイリンガルにはなれない」と考えている人もいらっしゃるようです。

いわゆる臨界期(Critical Period)という考え方です。一定の時期を過ぎると言語能力の一部が習得されづらくなることは、学術的な研究成果からも確からしいという報告が上がっています(DeKeyser, 2000)。

一方で、これが過度に強調されているのも事実です。
とくに幼児向けの英語教室などでは、おそらくマーケティング上の意図もあって、「大きくなってからでは遅い!」などと、早期教育を煽っているところも少なくありません。

まず押さえておいていただきたいのは、臨界期はもともと「母語の習得」に関して提唱された仮説だということです。つまり、ここで想定されているのは、ある言葉を母語として(=ネイティブレベルで)習得できるリミットなのです。

それによれば、たとえば6~7歳までにその言語に触れれば、ほぼ誰でもネイティブにはなれるのですが、そのあたりを過ぎてくると、音の聞き取りや発音の点でネイティブレベルになれない人が少しずつ出てきます。また、10歳あたりを過ぎると、文をつくる能力などはネイティブになれないと主張する研究もあります。いずれも個人差はありますし、あくまで「仮説」の域を出ていません。