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「そういうチャンスがあれば検討したい」
オリンパスの高山修一社長は、再建策の可能性として他社との業務提携、さらには資本の受け入れにまで言及。不祥事発覚後、踏み込んだ発言が初めて公の場で飛び出した。
不正会計の経緯や原因などを調査していた第三者委員会の調査報告書が提出された翌日、12月7日にオリンパスは会見を開き、対応策を発表した。そのポイントは大きく2点。三つの委員会設置と経営陣交代だ。
委員会のうち二つは、過去に遡って取締役や執行役員、監査役、監査法人などの責任を調査するためのもの。対象は総勢で70人近くにも上るという。残りの一つは、社内外のステークホルダーの意見を集約し、オリンパスの経営体制刷新案などに対して勧告をする「経営改革委員会」だ。
もう一つのポイントである経営陣交代に関して、時期には言葉を濁したものの、約束した。これらの対応によって、報告書内で「悪い意味でのサラリーマン根性の集大成」とまで酷評された体制の一新を図るという。
会見ではさらに、次回の株主総会で再建策を提案することにも言及。「あらゆる選択肢をタブーなく徹底して検討する」(高山社長)と明言した。そのなかで飛び出したのが、冒頭の発言だったというわけだ。
オリンパスは不正会計の訂正に当たり、簿外に飛ばしていた損失約1350億円を帳簿上に反映させなくてはならない。のれんの償却や減損などで約900億円はすでに相殺しているが、税金などの追加修正を加えると、2010年度末の利益剰余金約1700億円のうち、500億円以上が消し飛ぶことになる。
大西伸幸経理部長によれば、会計上の調整が入るため、「利益剰余金の減少分だけ、そのまま自己資本が減るわけではない」し、「今後2年間は新たな資金調達がなくても大丈夫」という。
しかし、11年6月末時点で自己資本比率13.5%、自己資本1480億円のオリンパスにとって、訴訟リスクまでも抱えた今、「資本が厳しいのは、十分承知している」(高山社長)と認めざるをえない状況だ。
とはいえ、出資する側の立場になってみれば、本業こそ堅調なものの、いまだにオリンパスはまともな投資先にはほど遠い。上場維持か廃止か、東京証券取引所から下される審判の時を待つ、「審査中」の身だからだ。もし上場廃止にでもなれば、紙クズとまではいかないまでも、株式価値は大きく目減りしてしまうだろう。
財務の抜き差しならない事情に、高山社長の発言も重なり、資本受け入れというシナリオが、にわかに現実味を帯びてきたオリンパス。再編含みの思惑も交錯し、東証が下す決断は、よりいっそう重みが増してきた。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木崇久)