リンクルショットの製造コストが下がったことはその通りなのだろうが、そもそも化粧品はブランドビジネスなので一般に宣伝広告費が高く、原価率が低いことは周知の事実だ。業界関係者は「ある意味、値段は付け放題」と言ってはばからない。それでも発売からたった1年で価格が下がれば、「『お得になった』と喜ぶよりも、『もともとの価格設定は何だったのか』と不信感を抱く人が少なからず出てくる」というわけだ。

 リンクルショットは発売当初の爆発的な売り上げに比べ、ボリュームは落ち着いてきた。日本人1世帯が化粧品に掛ける費用の平均は年約3万円(総務省統計局「家計調査」)で、高価格帯のリンクルショットはやはり高根の花だ。

 となると、値下げの大きな理由には、大ヒット翌年のリバウンド対策もあろう。鈴木社長も「副次的に新規客がもっと取れるだろう」と説明している。10%にせよ値下げは高根の花だったリンクルショットを求めやすくし、さらにリピートする動機になり得る。

 同社は10年の上場以来、7期連続で増収増益。好調は株価にも表れている。今期(17年12月期)も8期連続の増収増益が確実視されており、リンクルショットの大ヒットで上昇幅はかつてなく大きくなる見通しだ(下図参照)。それが皮肉にも、18年12月期の9期連続増収増益達成には高いハードルとなる。

 大ヒット製品の価格を下げることが購入層を広げて業績をさらに伸ばす妙策になり得るのか。さいは投げられた。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 土本匡孝)