ついに、政府が原子力発電所の新増設や建て替え(リプレース)に本腰を入れようとしている。10月の衆議院選挙で、「原発ゼロ」を掲げた野党に大勝し、盤石の政権基盤を築いた安倍政権は、「今しかない」と前向きになっている。見直し議論が進むエネルギー基本計画に、原発の必要性をどこまで盛り込むかが焦点になる。(「週刊ダイヤモンド」編集部 堀内 亮)
「安倍首相は、もともと原発を進めたいんですよ」。ある政府関係者は、安倍晋三首相の“胸の内”を解説した。
政府がとうとう、原子力発電所の新増設や建て替え(リプレース)に本腰を入れようとしている。
11月末に開かれた、エネルギー基本計画(エネ基)の見直しを議論する経済産業省の有識者会議。地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」で、政府が2050年までに温室効果ガスを13年比で80%削減する計画に向けて、「温暖化問題を真剣に議論する必要がある」との認識で一致した。関係者によれば、“認識の一致”は、CO2削減に貢献する原発の新増設、リプレースを意味するというのだ。
もともと原発の新増設、リプレースに消極的だった政府が、なぜ方針を転換したのか。大きな転機となったのは、10月の衆議院解散総選挙だ。
衆院選では、小池百合子元代表率いる希望の党をはじめ、野党が「原発ゼロ」を掲げた。しかし、大きな争点にならず、与党が大勝。政府が、「原発ゼロ」政策は民意が得られなかったと判断したのだ。