6月末の定期株主総会後に正式に東京電力ホールディングス会長に就任した川村隆氏。古巣の日立製作所が2008年度に7873億円という過去最大の最終赤字に陥った直後、会長兼社長に就任して経営再建を主導した経験を、東電立て直しにどう生かすのか。また最大の課題である原子力事業にどう手を加えるのか。話を聞いた。(聞き手/週刊ダイヤモンド編集部 片田江康男)
独占企業特有の
企業風土が残る
──就任してから2週間が経ちました。日立時代に経験した再建手法で東電で活かせそうなことはどのようなことでしょうか。また原子力事業において見えてきた課題は、どういったところでしょうか。
2週間で、いくつか気付いたことは出てきています。やっぱり感じたのは、この会社はすこし特殊な企業文化があるといことですね。遠因というのは、やはり長年地域独占企業としてやってきた名残りというのでしょうか。比較的ゆっくりと意思決定して、行動もゆっくりでもよかったわけです。でも、普通の企業は自由競争で揉まれますから、意思決定も行動も早いわけです。
組織っていうのは、普通はピラミッド型で、トップの命令が一気に伝わって、一気に一つの方向へ動く。でもこの会社はそういう意識がちょっと薄いようですね。それぞれの部門が、それぞれの動き方をしています。これを直すには、やはり一人ひとりの気持ちを変えていかないといけないです。こういうのは、地域独占の弊害だという気がしますね。