2代目N-BOXの開発者が語る「軽ワゴンに込めたホンダらしさ」白土清成・本田技術研究所四輪R&Dセンター主任研究員 Photo by Takeshi Shigeishi

 ホンダの軽ワゴン「N-BOX」(エヌボックス)が快走を続けている。昨年9月の2代目モデル発売以来、国内新車販売で3カ月連続のトップを獲得。“日本一売れている車”として不動の地位を固めつつあり、躍進が止まる気配はない。

 この2代目エヌボックスの開発責任者(LPL)が白土清成だ。白土は言う。「当たり前のことですが、お客さまのニーズにきっちり応えられたということ。国内専売の軽乗用車だからこそ、今の日本のニーズを真正面から受け止めた商品を造ることができた」。

 だが、その「ニーズ」をつかむのはたやすいことではない。そこに挑んだ開発者の飽くなき執念が、エヌボックス成功の裏にある。

 小学生のころ、白土は戦闘機やジェット機のプラモデル製作に夢中になり、「速い乗り物」がとにかく好きだった。リニアモーターカーに関わる仕事がしたいと国鉄を目指したが、分割民営化に揺れた当時、大卒の採用が見送られた。

 そこで選んだのが自動車メーカー。ホンダ車の開発ストーリーを描いた本を読み、「フィールドワークのように車を造る仕事が面白そうだ」とホンダに決めた。

 1986年入社。2年目からボディーの設計に携わり、初代の「フィット」や「フリード」などを担当した。2008年にLPLを補佐する開発責任者代行として担当することになったのが、初代エヌボックスだ。