「子どもに英語をマスターしてほしい!」――そんな願いを持っている親御さんは少なくないだろう。しかし、そんな人でも「英語がペラペラになればそれでいい」などとは思っていないはず……。むしろ、本当にわが子に身につけてほしいのは、世界のどこでも生きていける頭のよさ、つまり「本物の知性」なのではないだろうか。
実際、応用言語学や脳科学、教育心理学などのアカデミックな研究では「外国語学習の機会が、子どもの知力やIQを高める」といった知見が蓄積されつつあるという。
いま、こうした科学的根拠(エビデンス)に基づいた指導によって、子どもたちの英語力を着実に伸ばし、人気を集めている英語塾があるのをご存知だろうか。元イェール大学助教授の斉藤淳氏が代表をつとめるJ PREPだ。
本連載では、同氏の最新刊『ほんとうに頭がよくなる 世界最高の子ども英語――わが子の語学力のために親ができること全て!』から、一部抜粋して「ほんとうに頭がいい子」を育てるための英語学習メソッドを紹介する。

「親の声」で読み聞かせしよう

3歳くらいを過ぎると、子どもは本の読み聞かせを喜ぶようになります。この時期だと、ストーリーの面白さよりは、絵の親しみやすさや色彩の豊かさ、面白い音やフレーズの繰り返しなどが、子どもの心には響くようです。

幼少期の読み聞かせ経験が、子どもの将来的なリテラシーを左右することは、長年の専門研究でもかなりはっきりわかっています。とはいえ、焦りは禁物。日本語の絵本も英語の絵本も、とにかくたくさん読み聞かせして、子どもの「これが好き」「あれが楽しい」という感覚を徹底的に育ててください。むしろ、親も楽しみながら英語を復習するぐらいのつもりでいいと思います。

洋書絵本はオンライン書店であれば品揃えに困ることはありませんが、大きな書店の洋書絵本コーナーに一緒に出かけて、子どもと一緒に選ぶとなおよいでしょう。あるいは、公共図書館に「子ども向け洋書コーナー」が設置してあることもあります。
本を選ぶときは、親の意見を押しつけず、なるべく子どもの「好き」を優先します。最初はあまり英語にこだわらず、ビジュアル情報だけで楽しめるものにしたほうが、子どももスムーズに本の世界に入っていけます。
ただ、どうしてもキャラクターものなどに偏ってしまいそうなときは、一冊はとにかく子どもが気に入ったもの、もう一冊は親子の意見があったものというように、うまくバランスを取るといいと思います。

絵本の読み聞かせは、親にとっても人生を振り返ったり、明日への勇気をもらったりするいい機会になります。僕が長女に絵本の読み聞かせをしていたのは、ちょうど衆議院選挙で落選を経験し、アメリカに戻ったころのことでした。当時は絵本を買い与えるお金もなかったので、地元の書店の児童書コーナーに親子で行き、サンプルとして並んでいた本を毎回2冊ずつ読むようにしていたこともあります。
いまとなっては、僕の拙い発音は長女に笑われることも多いのですが、高校生になった彼女は、英語が得意なのはもちろん、読書も大好きです。

ですから、みなさんも「私の下手な発音を子どもに聞かせても大丈夫かな……」という心配はいりません。大切なのは、子どもは両親の声がいちばん安心するということ。決して上手な英語でなくてもいいので、親御さんご自身で読んでみてください。どうしても自信がないという人は、読み聞かせ音声CDがついた絵本を購入する手もあります。