管理組合の理事を選ぶ方法
「輪番制」の“落とし穴”
マンション管理組合の実務は理事会によって進められる。理事がどのようにして選ばれているかご存じだろうか?
1年任期で理事の全数を改選し、新理事が互選で理事長、副理事長、監事などを選ぶという「輪番制」が一般的だ。公平で、特定の人々が長年にわたって理事会を支配するようなことを防げる合理的な方法だ。
私は、この輪番制が今のところ、ベストな仕組みだと考えている。輪番制で、早いうちに全ての区分所有者が理事を経験しておくことが望ましい。
しかし、この輪番制には“落とし穴”もあるのだ。
これを埋めておかないと、管理会社がやりたい放題できる美味しいマンションになってしまう。今回は、管理会社にとって手強い管理組合になるための、輪番制の弱点を克服するノウハウをお伝えしたい。
1年任期の全数交代輪番制
そのメリットとデメリット
輪番制のメリットは、特定の人の意向だけが反映されるような事態になりにくいという点だ。理事会は、規模によっては億単位の積立金を管理するわけで、何年にもわたる“ワンマン理事長”といったような状態はできるだけ避けるべきだ。管理会社と癒着したり、積立金を着服したりといったことが実際に起こるからだ。
ある団地では、理事長が、会計担当理事の転居を機に通帳と印鑑を預かり、何度か勝手に引き出し、次年度も自ら留任を申し出て、結局足掛け2年にわたって1億1000万円を着服してして逮捕されるという事件が起こっている。輪番制が確実に守られていれば、そのような不祥事は起こりにくい。