――今後、モーター制御の関連技術として半導体は必要ですか。

 売上高が10兆円規模になった時、製造原価が6兆円くらいとするなら、このうち3分の1くらいは、(モーター駆動を制御する)パワー半導が中心のコスト構造になると考えています。ただ、そんなにすぐに必要ないでしょうね。

――かつて、ルネサスエレクトロニクスの買収交渉をしていましたね。

 ルネサスはたまたま売りに出ていたので手を挙げましたが、色々な理由で上手く行かなかった。、今はそんなに早くに半導体は必要ないと思っています。

 売上高が(20年度に)2兆円になったとしても、ルネサスの売上高が8000億円規模なら、それをすべて社内の部品で使うことはできないので、自社で使えない分は外販しなければならなくなる。そもそも、半導体ビジネスそのものには興味はないんですよ。

 あくまで本業のモーターに付随する部品としての半導体が必要なのであって、キーコンポーネントを内部で作るのが狙いです。いずれ半導体を買わなければならなくなったとしても、25年以降でしょうね。

――30年の「10兆円企業」に向けて、M&Aはどのように進めますか。

 10兆円に向けてのM&Aはぜんぶ決まっていて、これを買ったら次はこれを買う、これが買えなければ同じようなことをやっているこちらを買おうと、道筋がピシッと出来上がっています。

 絶えず10~20件と交渉していますが、われわれは銀行から提案されて買うということはなく、自分たちで買いたいものを決めている。

 だから、最初は相手が売る気がないものを「売ってくれませんか」というところから交渉を始めるわけで、みんな3~5年かかります。下手したら10年かかったものだってあるくらい。日本電産サーボなんて16年かかりましたよ。日立製作所の社長が4人代わってやっと売ってもらった。

 大きな会社をどんどん買ってそれで売り上げを伸ばそうとしても無理があります。大きな会社を買ったら、それに関連する小さな高い技術を何社か買収する。あくまで今の技術に関連する会社です。

 すべては、技術の複合化やシステム化のためのM&Aで、M&Aありきではありません。基本的にオーガニックの成長が50%、そして残り50%はオーガニックを伸ばすために足りない技術を補完するという考えでやっています。

>>第3回に続きます

ながもり・しげのぶ
1944年生 京都府出身 67年 職業訓練大学校電気科卒。73年 京都市内の自宅で日本電産を創業。パソコンに内蔵されるハードディスクドライブ(HDD)用の精密小型モーターで業績を伸ばし、積極的なM&A(合併・買収)で車載、産業、家電用モーターに進出、高成長を実現した。
>>続編『日本電産、「10兆円企業」へのカギは成長に追いつく人材確保』を読む