A氏が出資する金鉱で獲れた金もその例外ではない。

「別の業者の所に持ち込んで金塊として加工する。それをこっち(日本)に持ち込むわけです。もちろん、ただの密輸よりもコストはかかりますが、それでもアガリは相当なものになる」

 多くの読者は察しがついているだろうが、A氏はいわゆるカタギの人間ではない。関東に拠点を構える指定暴力団で幹部を務めている。  2011年に暴力団排除条例が一斉施行されて以降、ヤクザの経済活動は急速に縮小。しかし、国外にまで拠点を置いて大々的に金の密輸ビジネスを展開するA氏は、そんな"業界"の不景気風など関係ないという風情である。

相次ぐ金塊絡みの事件
金取引の資金めぐる強奪事件も

 実際、金塊絡みの事件が絶えることはない。

 12月には、東京税関が香港から成田空港経由で金塊約360キログラム(約16億円相当)を密輸しようとした韓国籍の男2人を関税法違反などで摘発した。男らは、金塊を太陽光発電式照明装置に隠して国際宅配便で持ち込もうとしたところを、空港でのX線検査で発見された。

 こうした密輸事件に次いで、強奪事件も目立つ。4月、福岡市中央区天神の路上で、みずほ銀行福岡支店で現金を引き出した男性が路上で2人組の男に襲われ、現金3億8000万円が奪われた。

 さらにその翌日には、東京・銀座の路上で自営業の男性が3人組の男らに襲われ4000万円を強奪された。いずれも奪われたのは、金塊の取引に絡む資金だった。

 銀座の事件では、警視庁が暴走族上がりの男2人を主犯格として逮捕し、その一味に現役高校生が加わっていたことが大きく報じられた。