ソーシャルメディアへの投稿を時系列で集約してくれる「Memolane」。今後は、スマートフォン版のリリースも予定されている。

 TwitterやFacebookといったソーシャルメディアが台頭する昨今。「今、何をしているか?」といった自分の行動を発信することに面白みを感じているネットユーザーは、多いことだろう。“自分の今”のアクションに対して、友人・知人からすぐに何らかの反応が返ってくるということは、案外と嬉しく、そして楽しいものだ。

 ただし、そうした即時的なコミュニケーションを愉しむ一方で、自分の情報がタイムライン上をどんどん流れていってしまうことに、不満を持っている向きもあるに違いない。多くのソーシャルメディアは、ブログなどと比較して、気軽に投稿できる点がある種の“売り”となっている。だがその一方で“過去の情報を振り返る”という点に関しては苦手なメディアと言える。

 そんななか、「Memolane」(メモレーン)というサービスが注目を集めている。「Memolane」の特徴は、FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアに投稿したテキストや写真、動画などのコンテンツを時系列でまとめ、1つに集約してくれる点である。

「Flickr」「foursquare」「Instagram」「YouTube」といった多くのソーシャルメディアとの連携が可能であり、これまでサービスごとに散らばっていた様々な自分の情報を、一元化することができる。つまり、ウェブ上に「自分史」を構築することができるのである。

「ソーシャルメディアの普及に伴い、ウェブ上にコンテンツを投稿する機会は増加傾向にあります。現在ソーシャルメディアは、“リアルタイム”な情報に注目が集まりがちですが、“ストック”という概念を持つサービスの重要性が今後高まると考えました」(株式会社デジタルガレージ メディア・インキュベーション本部 プロダクト部 庄子尚宏氏)

 このほど、日本市場での提携を発表したデジタルガレージの発表によれば、2011年3月のベータ版リリース以来、日本人ユーザーの数は、米国の20%に次いで17%という高い割合を示しているという。もともと、日本人ユーザーの多いTwitterとの親和性が高いサービスとはいえ、元来の“日記好き”という国民性も反映していると言えそうだ。

 また「Memolane」では、カテゴリーごとに各コンテンツを仕分けすることもできる。たとえば、趣味に関する投稿や写真だけを集めたカテゴリーを作成したり、家族のイベントやビジネストピックだけを集めたカテゴリーを作ったりすることもできる。

 さらに、「自分史」ばかりではなく、友達同士でカテゴリーを共同作成できる点もユニークなところだ。

 たとえば、友人たちと1週間の旅行へ出かけたとしよう。旅行から帰ってきたら、『Memolane』で共同のカテゴリーを作成し、旅行を共にした期間を設定する。次にFacebookやTwitterなどに、各々がアップロードした写真や動画、つぶやきを指定すると、全員の旅先での記録が1つのタイムラインに集約されることとなる。つまり、簡単に友人同士で共有のアルバムを作ることもできるのである。

 このように見ていくと、「Memolane」は単に過去ログを一元化してくれるというだけに留まらない可能性を感じさせる。「自分史」のみならず、自身を取り巻く人々との“記憶(メモリー)の連鎖”をも視覚化してくれる、全く新しいサービスではないだろうか。

(中島 駆/5時から作家塾(R)