人によって脳のタイプは異なる

 集中力を要する場面では覚醒レベルを高める必要がありますし、プレッシャーがかかる場面では覚醒レベルを下げ、リラックスする必要があります。

 これから試合に挑もうとする時に必要なメンタルと、これから寝ようとする時に必要なメンタルではそれぞれ異なるように、最適なメンタルの状態とは、場面や状況に応じて変わってくるのです。

 さらに、重要な要素として、メンタルには個人の体質が大きく関わってきます。普段からピリピリしている人もいれば、常に眠気を帯びたボーッとした人もいます。

 これは、人によりそれぞれ元々の覚醒レベルが異なることを意味しています。

 ピリピリタイプの人が、ここ一番で集中力を高めようと気合いを入れてしまっては、覚醒レベルが高まり過ぎ、パニック状態となってしまいます。逆に、ぼんやりタイプが、「ここ一番」でリラックスしようとリラクセーションをすれば、覚醒レベルが下がり過ぎ、まどろみ状態となってしまいます。

 今まで、こうした個人の体質を考慮せず、リラクセーションをしたり気合いを入れてきた結果として、パフォーマンスが高まる人と、そうでない人が出てきたのだと推測されます。

 つまり、状況に応じたコントロールと脳タイプに応じたコントロールを合わせて、はじめて真のメンタルコントロールとなるのです。

 本連載では、メンタル強化に関する理論的な説明から実際のメンタル強化法、ストレス環境の中で役立つテクニックなどをそれぞれ解説していきたいと思います。