批判論者が根拠とする海外の事例も極端なものばかりだ。

 たとえば、南アメリカのボリビアの例がよく引き合いに出されるが、政治情勢も不安定な最貧途上国は日本と単純に較できないだろう。

 水道の民営化は、欧州では歴史があり、現在では5~6割以上が民営化されていることは書いたが、さすがにそこまで民間比率が高くなると、ヘンテコな民営化の事例もなくはない。

 そこで一部民営化の揺り戻しも生じている。

 しかし、日本の場合、水道民営化の例はほぼゼロからのスタートなので、現行の水道料金や事業に関する規制の下で、運営を任せる民間業者を選定しても、サービスの質は低下しないだろうし、現状より良くなるケースも少なくないだろう。

 さらに、日本では水道サービスの供給範囲が必ずしも大きくなく、規模の経済を十分に発揮していない。そこで民間業者が複数の自治体の水道事業を引き受ければ、規模のメリットを生かすことも可能だ。

 また、現に地方自治体の水道公営事業体の一部は、国際展開も視野に入れるなどかなりの競争力がある。それを特殊会社化しても「民営化」なので、「民営化」にあたっての選択肢はかなり幅広い。

通常国会での審議
「反対のための反対」は許されない

 こう考えると、別に外資に依存しなくても、日本の水道事業の「民営化」を進めても問題はないだろうと思われる。

「民営化」には常に様々な批判があるが、筆者のこれまでの経験では、そうした批判を克服して、国民のためになる「民営化」が、水道では可能だと思う。

 さて、通常国会での法案審議だが、野党側は、第一党だった民進党が昨年の衆院解散で希望、立憲、無所属と分解し、参院民進党とあわせると4分割された。

 旧民進党を中心とした野党の「モリカケ」問題追求の脇に追いやられる形で、昨年の国会では、水道法改正は結果として廃案になった。

 しかし、水道民営化のもう一つの根拠である改正PFI法は民主党政権時代に成立したものだ。

 はたして、今回は、4分割された旧民進党の議員は水道法改正にどのような対応をするのか。「反対のための反対」に終始して、建設的な対案も出さないとなると、ますます国民に相手にされなくなるだろう。

(嘉悦大学教授 高橋洋一)