こんな日本人がいたのか!?『マレーシア大富豪の教え』(ダイヤモンド社)で話題となった小西史彦さんが、特別インタビューに応じてくれた。24歳のときに「無一文」「コネなし」でマレーシアに飛び込み、艱難辛苦の末に、上場企業を含む約50社の一大企業グループを築き上げ、マレーシア国王から民間人として最高位の「タンスリ」という称号を授けられたVIP中のVIP。今回のテーマは、「人の見極め方」。どのような人物をビジネスパートナーとして信頼し、どのような人物とはきっぱり別れるのか?その判断基準について聞いた。(聞き手:ダイヤモンド社 田中泰、構成:前田浩弥)
「あなたが私を信頼する前に、私はあなたを信頼する」
――小西さんは「無一文」「人脈ゼロ」で日本を飛び出してマレーシアに渡り、ご苦労もされながら、上場企業を含む約50社の一大企業グループを一代で築き上げました。異国でゼロからこれだけの成功をおさめた日本人は稀有だと思います。その秘訣はどこにあったとお考えでしょうか?
小西史彦(以下、小西) 「日本人がいない社会」に飛び込んで、ここまで生きてこられた秘訣ですか……。それはひとことでいうと、「I trust you before you trust me.」ですね。「あなたが私を信頼する前に、私はあなたを信頼する」。まず自分から、相手の立場を理解し、相手の権益を尊重して、相手を助ける。これが私の信条です。どんな人間にも、どんな場面でも、この姿勢で相手と接することで、私は道を切り開いてくることができたと思っています。
「お金」ももちろん大切ですが、「お金」よりも「信頼関係」こそが本質的に重要。なぜなら、「信頼関係」こそがビジネスのインフラだからです。この「信頼関係」というインフラの上で、はじめて「お金」は健全に動くのです。そして、「信頼関係」を築くためには、まずこちらが信頼されるに足る言動に徹する必要がある、ということです。
――なるほど。ただ、自分から率先して相手を信頼するためには、相手が「信頼するに足る人間」なのかどうかを見極める必要があると思います。「この人とは建設的な関係を構築できない。距離を置こう」と感じる人はいらっしゃらなかったのですか?
小西 それは、もちろんいましたよ(笑)
――その判断基準とは?
小西 ビジネスでは、まず相手と会って話して、お互いの立場や権益を確認しますよね。そのうえで私は、「相手をどう助けられるか」を考えます。しかしそこで、相手のほうからも、こちらを理解し、助けようという態度が感じられなければ、継続的な信頼関係を築くのは難しいと判断します。
相手の要望にばかり付き合わされてはビジネスとしては損ですし、仮にこちらにいくらかの得があったとしても、相手の事情を汲もうとしない人と付き合い続けていては、気持ちが参ってしまう。だから、相手に「こちらのことを考える気がない」とわかったら、それ以上協議をするのは時間の無駄ですよね。