チャート図解を用いて森羅万象を構造オチの笑いに落とし込む「分類王」クリエイションを発表してきた石黒謙吾が、15年にわたり構築してきたのがチャート思考。あらゆるものごとを、目先の対応ではなく、公式を定着させていく基本となる考え方で贈る「頭の漢方薬」的な人生指南である。

 その分類王の盟友、 Dr.イシグロが、ライフハックブームのなか、「スキル依存症」
に陥り、仕事やプライベートがうまくいかなくなった人々に警鐘を鳴らす。

 脱「右へならえマシン」、目指せ「問題解決の公式化」。

 ――さて本日も、「石黒総研」に1人のライフハック君(以下、[ラ])が訪れ、Dr.イシグロ(以下、[イ])との面談が始まった……。


自分の判断に迷いが生じて
能率が落ちた経理担当の憂鬱

[イ] こんにちは。イシグロ総研へようこそいらっしゃいました。

[ラ] 先生、本日はよろしくお願いいたします。

[イ] 落ち着いた雰囲気漂う女性の方が、ビジネスコンサルのご相談にお見えになるのは珍しいですが、どのようなお仕事ですかな? 

[ラ] はい。中堅の不動産会社で、経理をやっております。入社以来15年間、ずっとこの経理畑でやってきています。

[イ] それはもう、さぞ誠意ある仕事をされ信頼されているのでしょうね。それから、失礼ですが、ご結婚は?

[ラ] ええ、28歳で大学の同級生と結婚しまして、7年経ちました。子どもは、4歳の男の子が一人で、共働きしています。

[イ] 公私ともに責任と共に充実した日々を送られている頃ですね。そんな中、本日のご相談はどのようなことでしょうか?

[ラ] はい。数年前から少しずつなのですが、決断に際して迷うことが多くなりまして……。これは仕事でもプライベートでもそうなんです。

[イ] ほほう。たとえば仕事ではどのような?

[ラ] 自分の裁量で決済していい伝票、会計上のさまざまな書類などが次々と目の前にやってくるのですが、それを承認していいのかどうか、ものすごく迷うようになってしまったんです!だから、能率が著しく落ちまして、書類がたまる一方で。昔はこんなことなくさっさと決断できたのですが……。