2011年は東日本大震災、円高、ユーロ危機、タイの大洪水と、日本にとっては内外ともに災厄多き年だった。12年はそれ以上に不確実性、不安定性が高まる年となりそうだ、何しろ世界は政治の季節に突入する。1月の台湾総統選に始まり、露、仏、米、韓では大統領選、中国でも政権交代が行われる。北朝鮮情勢も不安材料だ。そうした状況下、12年を予想する上で、何がポイントになるのか。経営者、識者の方々に、アンケートをお願いし、5つののポイントを挙げてもらった。第9回は、立命館大学政策科学部・上久保誠人准教授。

かみくぼ・まさと/立命館大学政策科学部准教授。1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。

①消費税増税は実現する

 野田内閣の悲願である消費税増税には、与野党からの激しい反対がある。しかし、最終的には増税は実現する。野党は、野田内閣に増税をさせてから解散・総選挙前に突入した方が有利だと考えるだろう。民主党内の反対は、最終的には腰砕けになる。小選挙区制下では、国会議員が二大政党から離党するのはリスクが大きすぎる。増税反対の新党結成の動きも大きなものにならない。

②政権交代はあり得る。但し、
自民党政権になっても政治は停滞し続ける

 民主党の政権担当能力に対する国民の不信感は深刻で、年内に政権交代が起こる可能性はある。但し、自民党が政権復帰しても事態はなにも好転しない。参院で自民党も過半数を持っておらず、「ねじれ国会」が続く。野党の要求を飲まなければ政権運営ができないことは、民主党政権となんら変わりない。むしろ政権交代は民主党を利することになる。極端に言えば、自民党政権が重要法案を成立させるために、民主党の「子ども手当」完全復活要求を受け入れざるを得なくなるような事態もある。