「シンプルに売上が足りない」ヤマト運輸の新社長が語った真意とは?ヤマト運輸社長就任後、初の会見となる阿波誠一氏 Photo:カーゴニュース

4月1日付でヤマト運輸の代表取締役社長に就任した阿波誠一氏が5月22日、東京都中央区の本社で物流専門紙と会見し、今後の成長戦略について説明した。阿波氏は「最大のミッションは、本丸である宅急便ビジネスをもう一度成長させ、お客様に選んでもらえるサービスにすること」と表明。「そのために全員経営によって宅急便を進化させ、自信を持って売っていけるものにしていくとともに、社員の力を引き出すための仕組みや仕掛けを考えていく」と抱負を語った。(カーゴニュース編集部)

*本記事はカーゴニュースからの転載です

まずは宅急便を元気にしていく

 阿波誠一・ヤマト運輸社長は会見の冒頭、来年1月に50周年を迎える宅急便の現状について「eコマースの荷物の急増によって配達に追われ、SD(セールスドライバー)のS(セールス)がなくなってしまった。時間的な余裕がない中で、お客様から要望を聞き、ソリューションとして応えていく力がここ数年で弱まった」と指摘。

「経営面で言えば、法人向けCL(コントラクト・ロジスティクス)事業や成長領域の新規ビジネスがあるが、屋台骨となるのは全国2800カ所の宅急便営業所だ。宅急便の収益がしっかりと持ち上がり、そこに新規ビジネスが上乗せされれば、これからも大きく成長していける」と述べ、「まずは宅急便が元気になることが大事だ」と強調した。

 経営面の課題については「シンプルに売上が足りない」として、トップラインを伸ばすことで上昇基調が続くコストや固定費を補っていく必要があるとした。ただ、宅急便市場も年率2ケタ成長など大きな伸びは期待できないため、現有戦力をベースに人の差配などで効率化を図り、コストを抑制していくことが大事だと述べた。