「でも、それだけでは物足りなかったんです。外に出れば僕も男です。こう見えても昔はモテたし、独身時代のように羽をのばして、息抜きしたい日もあります」

 正樹さんは本音を打ち明けてくれましたが、外で女遊びをしていても、妻は家を守り、子どもはすくすく育っている…それが正樹さんにとって理想的。上記の通り、正樹さんは彼女と付き合っては別れるということを繰り返してきましたが、正樹さんにはいつでも「戻る場所」があるからこそ彼女との関係に執着せず、無理に引き留めたりしてドロドロの修羅場に陥るような事態を避けられたという面もあります。

話したいだけ話して
心の整理がついた相談者

なぜ妻子ある男性が別の女性と肉体関係を結びたくなるのか(下)露木さんの最新刊「男の離婚ケイカク」(主婦と生活社)

 頭の片隅で妻に悪いと思いながら、また一方で優越感にひたっている自分。正樹さんは自分で自分に酔っているように見受けられました。

 私に話したいだけ話して、彼なりに心の整理がついたのか、正樹さんは最後にこんな言葉をつぶやきました。

「彼女の存在はあくまで清涼剤にすぎません。そんな感じで僕はなんとかプライドを維持しているんです」

 私の事務所には「妻との離婚」の方法を求めて訪ねてきたはずなのに、結局、それについて何のアドバイスも求めないまま、帰っていきました。

 男はなぜ不倫をするのか──。男の身勝手な意見でも、言いたいだけ言わせてみると、何らかの理由が見えてきます。男性側に一切、反論させず、心のなかで何を思っているのか全く分からないまま収束させるのは、実にもったいないこととも言えます。むしろ、言いたいことを言わせることで「なぜ」の箇所から得られた教訓を血肉に変えた方が、よほど前向きではないでしょうか。

※本稿は実際の事例に基づいて構成していますが、プライバシー保護のため個人名は全て仮名とし、一部を脚色しています。ご了承ください。