2009年には横浜ベイスターズの選手会長となり、第2回WBCの日本代表にも選ばれて活躍したものの、途中肉離れを起こして無念のリタイアをします。2011年、通算250号本塁打と7年連続20号本塁打の記録を勲章に、「優勝を経験したい」と読売ジャイアンツにFA移籍。翌年には4番にも就きました。

 それから好不調はあったものの、阿部慎之助選手とともにチームの中心選手として主にクリーンナップの一角を任せられてきました。2016年には、高校時代に通算73本のホームランを記録し、鳴り物入りで入団した岡本和真選手とのポジション争いもありましたが、それを一蹴しました。

 ただ、キャッチャーを捨てて一塁手となった阿部選手とともに、中心バッターとしてはそろそろ陰りも見え始めた時期でした。世代交代の声が聞こえ始めていました。

 そして昨年。楽天やメジャーリーグで活躍したケーシー・マギー選手の入団が大きく影響し、代打要員に追いやられます。それでもシーズンの後半は三塁手でクリーンナップに返り咲いて活躍をしたのですが、この年のオフに戦力外通告を受けてしまいました。さぞや悔しい思いをしたことでしょう。

 これは、組織の事情です。鹿取義隆GMは「チームの若返りを図るための苦渋の決断」であり、「FAとせずに自由契約にするのは、次のチームが獲得しやすくするため」と説明しました。功労者に対する「誠意」というわけです。

 昨年、巨人軍は実に11年ぶりのBクラス。中心選手である村田選手は阿部選手とともに「戦犯の一人」であったわけです。しかし、阿部選手は生え抜きのスター選手です。しかも、昨年年は通算2000本安打を達成、今年は400本塁打(昨年までで通算388本)と興行的に話題性もあり、球場に客を呼べる選手であり続けているわけです。

存在感をどのように
打ち出すかがカギ

 組織の綾で、本来ならばまだ活躍できる、あるいは他の企業に行けば十分活躍できる人が、結果としてその会社で活躍の場を失うということは、ビジネスの世界でもよくある話です。そんな時にどうすればいいのでしょうか。

 巨人軍の話に戻すと、多くの人が勘違いしていることは、組織は今の阿部選手をどうとらえているかということです。阿部選手は私でもよく知っている有名選手です。巨人軍の功労者ですし、何と言っても名球会の会員です。彼を自由契約にするなどということはあり得ません。とはいえ、彼の存在でチームが優勝できるという妄想はもう持っていないでしょう。先述したように、昨年に通算2000本安打を達成、今年は400本塁打と、客を呼べる要素を持っていることが彼の強みなのです。

 その派手さ=看板効果が、残念ながら村田選手にはないというわけです。