本当のプロフェッショナルは
他人に教えを請い続けられる
自分の専門を決めた時に、そのための力をどう蓄え、磨くのか。当然、そこでも書籍は重要なアイテムなのですが、専門的な実践力は他人から学ぶのが一番いい方法です。
ある方がいます。私が尊敬する人事のプロですが、彼は30代の時に、それまでの専門性を捨て、一念発起して人事のプロになった人です。
前職はサービス業の現場にいましたが、あるベンチャー企業に転職しました。彼はそのベンチャー企業でも最初は営業だったのですが、自分で手を挙げて、人事のプロになろうとしました。その経緯や思いは別の話です。ここで知っていただきたいのは、彼はいかにして学び直しを行い、別の道のプロになり得たか、です。
大学院に通うといった手もあったと思います。自分の専門を変えようとした場合、それが一番ポピュラーな方法かもしれません。しかし、彼はそうはしませんでした。何をしたかというと、人事に関連する人たちが集まる会合に片っ端から顔を出して、挨拶をし、傍聴し、そして、そこで面白いと思った人を見つけ、個別に会いに出かけたのです。
私が新規事業担当のフェローをしていたリクルート社にも彼はやって来ました。そして「私は人事の素人です。しかし、この分野でプロになりたいと思っています。どうか、よろしくお引き回しください」と丁寧に頭を下げたのです。
大人になって、自分からそうそう言える言葉ではありません。しかも、彼は前の仕事でも目覚ましい実績を上げていたことは誰もが知っていました。みんなまず驚くのですが、同時にそう言われて悪い気がする人もほとんどいないと思います。だからこちらは何でも話をします。彼はそれをすべて克明にメモして学んでいきました。
彼はまた、「読むべき本はありますか?」と必ず聞いていました。自分が信じた人が勧める本を読む。そうすれば無駄がありません。