優秀なエリートには共通点がある。彼らは「真面目に、我慢して、一生懸命」ではなく、「ラクして速く」をモットーに、効率よく結果を出し続けている。まじめさと仕事のパフォーマンスは比例しない。24年間で5万人以上のクビ切りを手伝い、その一方で、6000人を超えるリーダー・幹部社員を選出してきた松本利明氏の新刊、『「ラクして速い」が一番すごい』から、内容の一部を特別公開する(構成:中村明博)
上司の無茶ぶり!
どう押し返す?
「ぜんぜん違う。判断基準がズレている。なぜなら……」。このようにハッキリ根拠を示してくれれば納得がいきます。しかし、
・すでに決まったことなのに、そもそも論でスタートに戻る
・やらないと決めたはずが、「やっぱり、こっちでやろう」と前提がくつがえる
・課長はOKを出したのに、部長からダメ出しをくらいやり直しになる
上司の思いつきに振り回され、やり直しをくらったときのダメージは計り知れません。一発で決め、やり直しを防ぐにはどうするか?嫌われずにどう押し返せばいいか?
「会社の価値観」を利用しましょう。「わが社の価値観の『○○』に沿って判断すると、こうなります」と言えばいいのです。
個人の見解では、上司のほうが偉いのでひっくり返されます。しかし、会社の「価値観」に沿って「判断」されたことは、上司はもちろん、役員であっても反対しにくいのです。会社のHPや壁に貼り出してある「経営理念」や「ミッション」は会社の根本的な価値観に基づいています。それを使えばいいのです。
「格安」を売りにしているサウスウエスト航空をご存じでしょうか。この会社はお客様の満足度を上げるために、
「ペットボトルの水をプレゼントすることは正解でしょうか?」
「不正解です。費用がかかるのでNGです」
「社内アナウンスを面白おかしくして、お客様を楽しませるのはどうでしょうか?」
「費用がかからずお客様の満足度も上がるのでOKです」
このように「格安」という価値観をベースに判断しています。ちなみに、この航空会社が、空港の滞在時間と待機で減る燃料を減らすためにどんな工夫をしているかご存じですか?
座席指定を無しにしています。
座席指定があると乗客も安心してゆっくりしてしまいます。しかし座席指定がないと、いい席に座るためには早くから並び、ゲートオープンになった瞬間に席をとりにいくしかありません。
結果として乗客を待たせず、ムダなコストがかかりません。乗客もそれで文句は言いません。
このように会社の「価値観」をもとに、YES/NOの判断基準に落とし込み、YESの方向で提案すると、上司や役員もNOと言いにくいのです。