誤解しないでほしいのですが、あなたの価値観を否定し、会社の価値観に染まれと言っているわけではありません。

 個々人の価値観から出る意見はすべて正しい。しかしそれでは1人ひとりの動きがバラバラになり、組織としてまとまりがなくなります。

 ですから、会社を「1人の人間」と見立て、その判断基準に沿って行動しましょう。意見調整のストレスと手間が減り、判断スピードも速くなります。

 日本人は、「自分の提案をNGと言われる=自分の全人格を否定されたととらえる」傾向があります。そのためにも、「個々人の価値観は尊重して認め合う。ただ、会社として判断するときは会社の価値観で行う」と割り切りましょう。

 会社の価値観を判断基準に落とし込む方法を解説します。経営理念などの価値観の中からキーワードを書き出します。そしてその逆の価値観を書いて対比させると、一瞬で判断基準に落とせます。

 例えばディズニーランドは「夢の国」がYESなので、NOは「現実」。アップルは「シンプル」がYESなので、NOは「細かなたくさんの機能」。

 この手法は、判断基準を全世界に浸透させるときに多国籍企業でよく用いられますが、日本では大企業の一部しか活用していません。

 価値観を暗記しておくだけでなく、一度YES/NOの判断基準で整理しておくといいでしょう。会社のそもそもの判断基準なのでひっくり返されにくく、検討と判断スピードが速くなります。

■参考記事
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