社員食堂のレシピ本シリーズが実売300万部を超えたタニタが、1月11日、「丸の内タニタ食堂」をオープンさせた。新聞やテレビの報道で知った向きも多いだろう。
筆者も話題の定食を堪能しようと、オープン当日、丸ノ内国際ビルヂング地下1階にある同食堂を訪れた。営業時間は平日の午前11時~午後3時と短いため、昼のピークタイムを避けて早めに到着したのだが、当日午前8時30分に配布されたという整理券はあっという間に完売。店内はもちろんのこと、店外も見物客や報道陣でごった返すという、想像以上の盛況ぶりだったのである。
タニタのホームページには、翌12日時点で「当面、想定を上回る混雑が続くと思われ、引き続き午前8時30分より店頭にて整理券を配布」とあり、しばらくこの過熱ぶりは続きそうな気配である。
同食堂の最大の魅力は、タニタの社員食堂のコンセプトを忠実に再現した日替わり定食800円と、週替わり定食900円(いずれも税込)を提供している点。栄養バランスがよく、1食当たり約500kcal、塩分約3gに抑えながらも、味わい深いラインナップだ。
それ以外にも、多彩な工夫を凝らしている。ヒーリング音楽会社とコラボし、本食堂専用のBGM集を流している他、アロマ会社と連携し、オリジナルのエッセンシャルオイルで優しさを演出している。店内スペースは今後、様々なイベントにも対応するアンテナショップとしても活用される予定だ。
また食堂には、体組成計を備えたカウンセリングルームを併設。営業時間中は管理栄養士が常駐し、無料でアドバイスも行なう。
このような食堂での展開が実現するのは、店舗のプロデュースや運営を担当する「食の専門家」と業務提携したから。全国に61店舗を運営する外食チェーン、株式会社きちり(本社:大阪市)が、店舗マネジメントで強力にサポートしているのだ。
そもそもタニタは、企業のテーマとして、“メタボ社員ゼロ”を目指した食のソリューションを、社員食堂のメニューを通して図ってきた。それが健康志向の追い風のなか、クローズアップされた形だ。
タニタ食堂は、「丸の内」という日本のビジネスの中心地でどのように迎えられるのか。最前線のビジネス戦士たちの食の意識までも変えていくのだろうか?そんなタニタの試みに大いに注目したい。
(田中恭子/5時から作家塾(R))