3つの「上下関係の呪い」が組織全体をダメにする

 コミュニケーション不全を起こしている要因として、私は三つの「上下関係の呪い」が存在していると考えています。

 一つ目の「上下関係の呪い」は「年齢差の呪い」。端的に言えば、「年齢が上の者は偉い」という刷り込みです。先輩に対して「反対意見が言いにくい」とか「後輩の自分が上司になると、いろいろやりにくい」など「年齢差の呪い」によってさまざまなコミュニケーション不全が起こってきます。

 これがもし封建時代なら、別に問題ありません。先人が培ったノウハウをほぼそのまま後輩に伝承すればよかった時代おいては、むしろ効率的なスキル伝承が可能になります。

 しかし、現代はそんな時代ではありません。先人の知識や経験がまるっきり無駄だとは言いませんが、「それを引き継いでおけば万事うまくいく」というわけにはいきません。もはや日本は人口が頭打ちで、内需は下降に入っています。当然、より激しいマーケットに出て行かなければなりませんし、技術革新のスピードもますます速く、人口知能やSNSなど新しいテクノロジーにも対応していかなければなりません。

 これだけ市場構造が大きく変化している時代にあって、「先輩の言うことは正しい」「反対意見は言いにくい」なんて文化や雰囲気が根づいていたら、確実に取り残されます。

 時代に求められているのは、豊かな経験だけではありません。若者や経験をあまり積んでいない人のフレッシュで、ターゲットの消費者の感性に近い(業界的に見れば)斬新な意見や発想も、少なくとも同等くらいの価値は持つはずです。

 ところが、多くの企業では、新入社員として入った瞬間から「先輩の言うことは聞くべき」という刷り込みが始まります。先輩は先輩で偉そうな態度を取っていて、後輩の意見に耳を傾けようともしません。すると、後輩たちも自分の意見やアイデアを言わなくなり、考えなくなります。そんな毎日が積み重なると、組織の神経回路は下から上方向へつながることはなく、一方通行に固定されていきます。

 これが一つ目の「年齢差の呪い」です。