「まず、海外のマフィアが元売に卸す場合、仕入れの量によって変動はあるが、だいたい1グラムあたり1000~3000円。元売りから大卸へは5000~6000円で卸す。中卸はこれを8000~1万円で買い、1万2000~1万5000円前後で末端の売人に売り渡す。そして最終段階のユーザー価格が1グラムあたり2万~3万円となる。これがよく言われる“末端価格”というやつだ。ただ、使用目的の一般人は1回の取引で1パケ(0.2~0.3グラム)の購入が普通。この相場が1万~1万5000円だ」

 これはしかし、一般人の私にも分かりやすいようにA氏が単純化して説明してくれたものであり、実際は段階が上に行くほど1回の取引で扱う量が多くなるので、仕入れ値はもっと下がるはずだ。

 例えば、大卸段階ではキロ単位の取引が普通なので、グラムあたりの金額はさらに低くなるだろう。しかし、最末端であるユーザーへの販売価格だけは、ここ10年ほぼ変わっていない。

「もちろん品薄のときは仕入れ値も上がるが、売人も客も端数を嫌う。1万2300円なんていったら、面倒だし、外でのやり取りで捕まるリスクも高くなる。だから、値が上がったときは、分量を減らして対応するんだ」とA氏は明かす。

乱用者はざっと10万人
流通規模は年間数千億円程度か

 では、現在、日本国内における覚醒剤市場はどのくらいの規模なのだろうか。

 非合法な闇の市場なのでこれを正確に知る術はないが、推測は可能だ。警察庁発表の統計(2015年)によれば、覚醒剤取締法違反での検挙者数は1万792人(2014年度)。それ以降も、だいたい1万人前後で推移していると見られている。

 A氏によれば、「一般ユーザー」の購入頻度の平均は月2回。1回1万円として月に2万円の出費となる。全国の覚醒剤乱用者の総数を推測するのに、よく検挙者数の10倍と見積もる識者がいる。それにのっとれば約10万人規模の市場ということになる。彼らが月に2回の購入で2万円を使うとして、1ヵ月当たりの売り上げは20億円、年間では240億円となるが、この数字はあまりに低すぎると言わざるを得ない。