いま、遺言や相続で悩まれている方が増えています。人それぞれ、いろいろな問題を抱えていますが、遺言があった場合となかった場合では、どう違うのでしょうか。ユニークな遺言の書き方を提唱する『90分で遺言書』の著者・塩原匡浩氏に、遺言のポイントを聞く。
「遺言」には2つの意味がある
「遺言」を辞書で引くと、2つの意味と読み方が載っています。
ひとつ目は、「死後のために生前に言い残す言葉。親のゆいごん等」。
ふたつ目は、「自分の死後に法律上の効力を発生させる目的で遺贈・相続分の指定・認知などにつき、一定の方式に従ってする単独の意思表示。法律用語として習慣として、いごんと読む」とあります。
このふたつの違いを掘り下げてみましょう。
まず「ゆいごん」とは、生前に、死後のことについて言い残すことです。口頭であっても書面であっても、ビデオレターや録音テープなどであっても「ゆいごん」と総称されます。
つまり、大きな意味で「死後のために生前に言い残す言葉」ということです。ただし、民法上の法的効力は原則的にありません。
次に「いごん」について見ていきましょう。重要なのは、「法律上の効果を発生させる目的で」という点です。
民法第967条以降の遺言の書き方に則った遺言書でなければ、法的な効果はありません。そのため、日本では、自分が死後のために何か言い(書き)残したいと思い、さらに法的な効果を持ってそれを実現させたいと思うなら、この民法のルールに則った遺言書を作成しなければならないのです。
広い意味での遺言を総称して「ゆいごん」、狭い意味で法的な効果のあるのが「いごん」と言うことができます。