「ゆいごん」だけでは
トラブルを生む危険!
広い意味での「ゆいごん」は、ドラマや小説に出てくるように、遺言者が亡くなる前に、残される人々に口頭で伝えることも多々あります。それは、個別に密室で伝えたり、相手によって内容が異なったりするため、矛盾することがあるかもしれません。
そして、これらの遺言は、すべて「無効な遺言」として片づけられてしまう可能性があります。現在の法律では、有効な遺言は民法のルールに則った遺言書のみとなっているからです。
しかし、現実問題として、遺言を伝えられた側の立場に立つと、病床で遺言を直接言われた場合、法的な意味がどうであるかよりも、遺言の内容そのものを実現させることのほうが重要だと思ってしまうのではないでしょうか。
伝えられた側にとっては「この内容こそが真実の遺言である」と思い込んでしまうこともあるでしょう。口頭での遺言と法的に有効な遺言の内容に矛盾があったとしても、心情的には口頭の遺言を優先してしまうかもしれません。
このような場合、相続人の間で意見の食い違いが生じ、遺言書があるにもかかわらず、その実現やその他の手続きに支障が出てしまう可能性があるのです。それによって、想像すらしなかったトラブルの発生を招いてしまうことでしょう。
そのような想定外のトラブルを起こさないためにも、転ばぬ先の杖として遺言書を書いておくことをおすすめします。
遺言書は「本文」(死後の権利関係などを書くところ)と「付言」(自分の気持ちなどを書くところ)に分けて記載すれば、遺言に対する考え方がシンプルになり、簡単に書くことができると思います。