ビジネスの世界や職場では、ニオイに敏感な女性が増えたことと、人間関係が希薄になったことが関係している。

「かつてのように人間関係が濃厚であれば、お互いのニオイは嫌だとは思わない」(「汗博士」の異名を持つ五味常明「五味クリニック」=東京都新宿区=院長)のだが、そうではなくなった。

 追い打ちをかけたのが、節電意識が高まって、冷房温度の引き上げが広がり、オフィス内や車内が暑くなって汗をかきやすくなったことだ。

 売り上げ増を目指しての化粧品会社の働きかけも見逃せない。

 ネットのアンケート結果などから「ニオイ(体臭)は相手の印象を『50点以上』減点する」「『スメルハラスメント』の認知率は、3年で2倍以上」などと指摘して、ニオイの問題を顕在化させ、「体臭や口臭のケアは、もはや『できるビジネスマン』にとって必須のエチケット」などとあおった。

 人間には、知らなければ気にならないが、いったん気にし始めると気になって仕方がなくなるという認知特性がある。

 しかも同調圧力の強い日本社会だから、海外の人からは「どうしてそこまで」と言われるほどの「ニオイ(体臭)気にし過ぎ」社会になってしまった。

「体臭の悩み」で登校できず
対人恐怖症になる弊害も

 だがここまでくると、弊害も出てくる。

 前出の五味院長によれば、体臭の悩みを抱えてクリニックを訪れる患者は増えているが、実はその7割はそれほど体臭が強くない。

「スメハラで周囲に迷惑をかけている害よりも、自分がニオっているのだと悩んで、消極的になり、人間関係を築けない人たちが増える害の方が大きいのではないか」と言う。