岡田幹治
米英の主要メディアがPCR検査の問題から新型コロナウイルスの感染者数が実態より大幅に多いことになっていると報じた。日本でも同様の主張をしている学者がいる。コロナ・パンデミックは過大に評価されているのか。

新型コロナウイルスで日本はすでに免疫保有者が一定の割合になり収束に向かう「集団免疫」状態だとする研究者がいる。1日当たりの死者数の急減がその根拠だが、もしそうなら政府のコロナ対策も変える必要がある。

新型コロナウイルス感染症はインフルエンザに比べても死者が多いわけではなく、PCR検査を診断の基準にすることにも疑問の声がある。対策は高齢者などリスクの高い人を重点にすればよく、「恐怖のウイルス」「恐怖のウイルス」というイメージは木を見て森を見ない認識だ。

コロナ不況はパンデミックと資産バブル崩壊が重なったものだが、資産バブルに警鐘を鳴らした山口廣秀・元日本銀行副総裁は、「長期化すれば金融システムの動揺が起き、日本の金融機関の打撃はリーマン時より大きい」と懸念する。

河川氾濫による被害で行政に対し被災者への損害賠償を求める判決が熊本地裁であった。国や自治体は財政上の制約などを理由に河川の管理・整備で責任を問われることが少なかったが、対策の見直しを迫る可能性がある。

台風19号による堤防決壊で莫大な損害が出たが、安価で堤防決壊に効果があるとされていた工法を国交省が途中でやめていた。ダムやスーパー堤防の建設を推進する思惑があったといわれている。

日米の貿易新協定で米国産牛肉の関税引き下げが決まり、さらに首脳会談でトウモロコシの緊急輸入も決まったが、これらはEUによる輸入禁止や米国内の事情で“余剰”になっているものだ。

日本の子どもの睡眠時間は世界一短い。塾や部活で忙しいうえスマホなど夜更かしの要因も増えた。社会の夜型化が進み大人の睡眠時間も短く、社会全体が“寝不足社会”だ。

使い捨てプラ製品の海洋ごみ削減対策が本格的に動きだしたが、日本の取り組みは世界の“主流”からずれている。製品の使用禁止や違う素材に変えて「ゼロ」を目指すのでなく、「再利用」中心で焼却などの際に新たな汚染を生むやり方だからだ。

2050年までに新たな海洋プラスチック汚染「ゼロ」を目指すことが決まった。一人当たりのプラごみ発生量が世界2位の日本だが、レジ袋有料化が来年4月に義務付けられそうで、ペットボトルの持ち込み禁止も始まっている。

NHK番組「ガッテン!」に抗議が相次いだ。洗濯を何度もしたヨレヨレ服を新品のように戻す「ワザ」として、「香害」の原因商品にあがる柔軟剤の活用を推奨したからだ。「香害被害者」にはとても合点がいく話ではなかった。

次世代型の「スマートメーター」で発火事故が続いている。原因は「製品不良」や設置の際の「施工ミス」だが、これが見過ごされてきた背景には、電力会社をめぐる根深い構造問題がある。

柔軟剤などに香りをつける香料の成分には発がん性などの毒性があるものがあるが、使用禁止などの基準は業界の自主規制だ。禁止・規制されているのは全成分の6%だけで、「欠陥が多く、客観性がない」と指摘されている。

第10回
「香害被害者」の存在がテレビの特別番組や新聞の意見広告などで取り上げられることが増え、問題の理解が広がる中で、化学物質過敏症の人が特別な対応を受けられるようにする自治体も出始めた。

国内で、芳香剤などの成分で健康を害するし化学物質過敏症の疑いが濃い人は550万人、過敏症の予備軍を含めた「香害被害者」は1000万人程度に上ると推定され、香害先進国である米国の後を確実に追っている。

米国では成人3人のうち1人が「香害」被害者という調査結果が公表された。デトロイト市では職員の香料使用を禁止し自治体での取り組みが広がる。「香害110番」の訴えを見ると日本も米国の後を追う状況だ。

第7回
「香りつき商品」の工場で働き化学物質過敏症で退職せざるを得なかった元従業員に対して、企業の賠償責任が確定した。「香害」を起こしかねない作業環境には知らぬ存ぜぬではすまされないという警鐘だ。

第6回
汗臭さを消そうと使う消臭除菌スプレーや香りつきの合成洗剤にも「香害」を引き起こしかねない化学物質が含まれている。通勤車内などで“加害者”にならないためには、汗はハンカチでぬぐい、必要なら着替え用の下着を持参するといった「ひと手間かけた生活」を実践することだ。

第5回
政府や業界が「香害」の低減対策に取り組み始めたが、「使い過ぎ」注意を呼びかける表示をするだけでは、むしろ弊害のほうが大きい。柔軟剤などのすべての成分の表示や安全性の確認などの抜本策が必要だ。

第4回
“香害”で登校できなかったり教室に入れなかったりする子どもたちを支えるため、ユニットハウスの移動式教室やIT機器を使った遠隔授業など、一部だが、ようやく学校現場で取り組みが始まっている。
