とはいえ、普通の泌尿器科は、男性患者と顔を合わせる可能性があるのでパス。医師は女性に限る。そこはこだわった。

 子宮がんなど、生命にかかわる病気であれば、性別関係なく名医を探すが、そうではない場合は、「医師といえども、大事なところを男性に見せるのは嫌」という女性は多いのだ。

「膀胱瘤(ぼうこうりゅう)ですね」

 問診の他、尿検査、残尿測定、内診とともにスペキュラムと呼ばれる器械を膣内に挿入し、どの部位がどのように下がっているのかを調べる台上診等を行った後、女性医師は言った。

 膀胱瘤は、さまざまな種類がある骨盤臓器脱のなかでも一番多い状態で、膀胱が膣から出てくることを指す。膀胱が正常な位置にないため、頻尿や排尿困難といった症状を引き起こしたり、膀胱炎になりやすくなったりする。

 ちなみに、子宮が出てくるのは「子宮脱」で、悪化すると、子宮の入口周辺がこすれて出血したり炎症をおこしたりする。それから直腸が後側の膣壁といっしょに出てくるのが「直腸瘤(ちょくちょうりゅう)」。

 ひどくなると直腸の突出した部分に便がたまり、慢性的な便秘や排便障害を引き起こす。怖いのは「膣断端脱(ちつだんたんだつ)」といって、子宮全摘手術の後に膣壁が出てきてしまう状態。悪くなると、膣壁が反転してボール状になり、膀胱や直腸はもちろんのこと、子宮がないため小腸が外に出てきてしまう(小腸瘤)こともあるらしい。

 治療は、症状が軽度であれば、悪化予防や症状の改善を目的に骨盤底筋体操を行う。即効性はないが、粘り強く続ければ自力で症状を改善させることができる。ただし、「骨盤底筋を引き締める」といってもピンとこない場合も多いので、最初は自己流ではなく、クリニックが開講する教室に通うのがお薦めだ。