11月25日から12月1日までの1週間は、「性の健康週間」。実は、先進国で性感染症が増加傾向にあるのは日本だけと言われる。その理由は正しい知識が広く浸透していないせいかもしれない。特に、アダルトビデオなどでお馴染みのオーラルセックス(口腔性交)は「妊娠の心配がない」と無防備な人も少なくない。性感染症を無症状のまま、広げてしまうリスクもある。(医療ジャーナリスト 木原洋美)

オーラルセックスで咽頭がん!?
米国有名俳優の話に脅威

HPV(ヒトパピローマウイルス)の電子顕微鏡写真HPV(ヒトパピローマウイルス)の電子顕微鏡写真 Photo:BSIP/gettyimages

 (おいおい、勘弁してくれよ)

 都内在住の会社員Sさん(40代)は、スマホを見ながらつぶやいた。2013年のことだ。

 配信されていたのはアメリカの俳優マイケル・ダグラスのニュース。

 マイケルは、映画『氷の微笑』『危険な情事』など過激なエロティックサスペンスで人気を博したと同時に、「セックス依存症」を告白したことでも知られる、“とんでもエロおじさん”だ。

 2010年にステージIVの咽頭がんを患いながらも、無事生還を果たしたマイケルだったが、なんと自分ががんを発症した原因は「クンニ(クンニリングス)のし過ぎだった」と語っていた。

 自他共に認める大の酒好き、かつヘビースモーカーのマイケルに対して、英ガーディアン紙の記者が「がんを患ってみて、悪しき習慣を後悔していますか」と尋ねたところ、「後悔なんかしてないよ。咽頭がんになったのは、飲酒や喫煙のせいじゃないからね。このがんの主な発症原因はクンニによるHPV(ヒトパピローマウイルスという子宮頸部がんなどの原因になるウイルス)感染なんだから」とご機嫌で答えている。

 これにSさんは動揺した。