最前線に立つ理論家

 もちろん、生まれつきの感性や揺るぎない価値観によるところが大きいとは思うが、レジスと接してきた私には他にも感じる点が幾つかある。

 まず、レジスが高学歴ではないよそ者であったことだ。フィラデルフィアで地元の大学を卒業し、シリコンバレーに流れ着いた彼に失うものはなかった。

 学歴を利用して有名企業に入社する発想がなかったから、目の前にある面白い企業に就職し、シリコンバレーが産声を上げる時期の企業と関わった。その企業がたまたまインテルやアップルだったというわけだ。

 レジスと周りの友人たちは「建前」「会社の事情」「大人の賢さ」からは遠い価値観の人たちだった。従って、物事を真っさらな気持ちで見ることができたのだろう。

 また、物事を実行するときに必要な「大人の態度」を備えていた。例えば、批判的なジャーナリストにも丁寧に対応していた。

 多くの先進的なスタートアップにコンサルティングや投資をすることで、独り善がりの理論に流されることなく、実践的なアイデアを磨いていた。そのため、数多くの「世界初」を演出してきた。

 常にスタートアップの内側に入り、フロンティアに立つことによって、いち早く未来を「知る」ことができたのだと思う。彼にはなれずとも、その足跡から未来を知るすべは学べるはずだ。

 レジスでも唯一読めなかったのが「アップル株をもらわずに後悔する自分の姿」だった。ジョブズに紹介した投資家が資産1000億円超の「ビリオネア」になったのは言うまでもない。(敬称略)

*「週刊ダイヤモンド」2017年12月30日号からの転載です