男性にターゲットを絞った大型専門店「阪急MEN’S TOKYO」(東京都千代田区)の、美と健康に関連するフロア「リフレッシュコート」(8階)が好調だ。
2011年10月に開業した同店は、仕事やプライベートで旅を楽しみ、良質でお洒落なモノを知り尽くした大人の男性として“ジェットセッター”をイメージ。世界の一流ブランドを筆頭に、ハイエンドな紳士小物、紳士服ブランドを集積した。感度の高い客層をとらえ、想定目標を2ケタ上回る好調な売上げを上げているという。
東京では、男性に特化したデパートは三越伊勢丹ホールディングス(東京都新宿区)の伊勢丹メンズ館があるが、東京の有楽町・銀座エリアでは初めて。丸の内、銀座、有楽町、新橋といったビジネス街が足元商圏にあり、出張で東京駅を利用する人にとっても立ち寄りやすい立地だ。
リフレッシュコート(108坪)では、ヘアからネイル、ボディと多様なケアが受けられる。
自然派ヘアケアブランドのアヴェダ製品を使用しているヘアサロン「美容室 コーゾー アヴェダ」は、アヴェダ メン製品を使って、「スタンダードカット」(6800円)のほか「ボタニカルスカルプスパ」(5250円)や「極潤トリートメント」(7350円)などのメニューを用意したところ、併用する人が多く、男性客の客単価は1万円に達している。
体の疲れをケアする「ボディファクトリー」も、個室を備えてスペシャルケアを提供。オーストラリアのナチュラルコスメ「ジュリーク」のローズオイルで手や足、ボディの施術が受けられ、「アロマボディコース」なら100分/1万4700円(男性)と高額だが、出張帰りに疲れをほぐしたいと予約が入るなど人気が高い。昼休みや営業での外回りの合間に、20~30分(2100~3150円)程度の軽めのケアを利用するビジネスマンも。
阪急阪神百貨店(大阪市北区、新田信昭社長)婦人服飾品商品部化粧品商品部バイヤーの田村成毅氏は、「男性も、女性が受けているようなリラクゼーションに関心があったものの抵抗感があったと思われる。阪急MEN’S TOKYOは男性のための館ということで、入りやすく、気軽に利用できるようになったのが背景にあるようだ」と分析。
ネイルサロン「ネイルズユニーク アルティミッド」でも、ツメの形を整えて、甘皮を処理し、表面を磨くコース(約35分4620円)は身だしなみの一環として認知されつつある。
このようなケアメニューは来店頻度に寄与。サロンで施術を受けた後、階下の売場に立ち寄るなどシャワー効果が表れつつある。
4つのサロンのほか、果物のシェイクやホットドッグなどの軽食が楽しめるカフェ「フルーツギャザリング」(約30席)では、日本初上陸で、米国の老舗アポセカリー(薬局)「シー・オー・ビゲロウ」のスキンケアやボディケアのアイテムを購入することもできる。
同フロアは、カップルの利用が伸びており、「買い物やデートの合間に隠れ家的な、リラックスできる場として定着すれば」(田村氏)と期待を寄せる。
メンズコスメの市場は、年率1%前後の成長が見込まれるといわれているが、まだ店頭で買うのは恥ずかしいという声も聞かれる。
「阪急MEN’S TOKYO」は非常に先進的であり、潜在需要を刺激している事例として要注目だ。
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