左から、片山晴紀氏(知財・法務・広報グループ 知財部長)、村上泰一郎氏(代表取締役社長)、木本大介氏(知財・法務・広報グループ長)。それぞれ「iwasemi」「kikippaイヤホン」などの自社製品を手にしてもらった。
研究者・メディアアーティストとして名高い落合陽一氏が率いる筑波大学発のベンチャーであるピクシーダストテクノロジーズは、音・光・電波などの「波動」を計算機で自在に制御する独自の技術を持つ研究開発型企業だ。超音波によるヘアケアや認知症ケア向けの「ガンマ波サウンド」など、ユニークな技術を開発している。大学の最先端技術を研究室にとどめず、連続的な社会実装(製品化)へとつなげる独自のビジネスモデルを展開する同社の知財戦略とは、どのようなものか。共同創業者の一人である村上泰一郎社長と、知財・法務・広報を束ねる木本大介氏、片山晴紀氏に話を聞いた。(取材・文・撮影/嶺 竜一)
ピクシーダスト創業の原点は
「日本の研究のROIを上げること」
――2017年5月にピクシーダストテクノロジーズを創業したのはなぜですか。出発点にあった問題意識を教えてください。
村上 日本のアカデミアにおける研究開発の投資対効果(ROI)を上げたい、というのがベースにあるモチベーションでした。共同創業者の落合(陽一氏)も「このままだと日本のアカデミアは死んでしまう」と危惧しており、課題認識は近かったと思います。
国から研究費を何百万円といただいて研究しても、同じ領域で海外の大手ビッグテックに何億円もかけた研究成果を出してこられると、もう勝ち目は薄い。ビッグテックは、研究成果を社会実装して価値を出し、その対価を受け取り、さらに研究に使うという循環を回している。
一方日本のアカデミアは、学会発表までは行っても、社会実装して価値に変えてリターンを研究に再投資するサイクルがきれいに組み上がっていないと感じており、そこを何とか回したい、というのが共通のモチベーションとしてありました。
――大学の研究者の頭の中で生まれた“アイデア”を基に、世の中に存在しない新しい価値を実際の社会で創造する。つまり、社会実装することを目的としていたと。







