今年11月6日投開票の米大統領選に、世界の注目が集まっている。1月3日の共和党アイオワ州党員集会を皮切りに、各党の大統領候補者を絞り込むための予備選が幕を開けた。再選を目指すバラク・オバマ大統領が率いる民主党に対して、政権奪回を狙う共和党は、ミット・ロムニー・前マサチューセッツ州知事や、元下院議長のニュート・ギングリッチら挑戦者が激戦を繰り広げている。民主党は再び勝利することができるのか。それとも共和党が「返り咲き」を果たすのだろうか。

 2008年の大統領選で共和党が敗退し、辛酸をなめたアメリカの保守層たち。そんな彼らが、オバマ政権への不満を表明し、全米で草の根的に広げたのが、「ティーパーティー運動」である。2012年のリベンジを期して、彼らはこの大統領戦にどう臨むのか。保守の本拠地・アリゾナで、ティーパーティーのメンバーたちを直撃した。彼らの本音からは、日本人には見えにくい米国大統領選の論点と、候補者それぞれに求められる課題が浮かび上がってきた。

共和党が強く保守層が中心のアリゾナ
盛り上がる「オバマ再選阻止」の気運

メキシコに接するアリゾナ州のシンボルは、サボテン。西部劇の時代を彷彿とさせる。

 メキシコと国境を接するアリゾナ州。砂漠の地ににょきっと生える野生のサボテンと、雄大なグランドキャニオンを観光資源に持つこの土地は、「ワイルド・ワイルド・ウェスト」とも呼ばれ、ジョン・ウエインの西部劇映画の舞台としても有名だ。

 政治的には共和党が強く、保守層が中心の土地柄、つまり真っ赤なレッドステイトである。州代表の上院議員は、お馴染み共和党のジョン・マケイン。2008年の大統領選でオバマと闘って敗れた、あの人である。

 そんなアリゾナの州都、フェニックスの郊外で、オバマ再選阻止を目指し、草の根活動をする保守派の人々がいると聞き、早速会いに行ってみた。


「ウェルカム!!」

 約束の場所であるイタリアンレストランに着くと、紺のブレザーとカーキ色のズボンで決め、きちんとネクタイをしたおじ様たちが、駐車場で待っていた。 さすが保守派。全米どこであろうと、時間きっかりに「正装」で現れるのがコンサバティブのお約束。それはまるで彼らのDNAに刻み込まれているようだ。