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イラン情勢を受けて原油の先物価格が急上昇し、1バレル=100ドルの大台を突破した。約3年8カ月ぶりの高値水準だ。すでに国内のガソリン価格も値上がりしていて、3月11日週は1リットル160円を超える見通し。この様子だと原油価格の上昇は予想を超え、1リットル200円になる現実味が増している。今後のシナリオを試算した。(桃山学院大学経営学部教授 小嶌正稔)
ガソリン価格は200円を超えるか?
原油上昇のみならず「円安」も影響
3月9日の朝、アラートが来て飛び起きた(実は体調が悪く床に臥せていた)。原油先物市場のWTIが100ドルの大台を超えて108ドルになっていたのだ。先物市場はパニックの様相だ。わが国のレギュラーガソリン価格も1リットル200円を越える可能性が高い。
3月7日時点で、ENEOSや出光興産、コスモなどの大手元売りは、系列店以外への出荷を事実上凍結していた。元売りからの卸売価格は2.5円の上昇にとどまったが、系列店以外の石油製品は1週間で12.5円も値上がりした。業界筋によると、3月14日の卸売価格は一気に15円~19円も値上がりするとの予想もあった。
そもそも世界的な原油価格の高騰が始まったのは、2022年2月のロシアのウクライナ侵攻からだった。22年7月平均は1バレル97ドルと、100ドル直面まで迫った。その後は下落傾向で、60ドル程度に落ち着いた。
しかし、「日本の原油価格」は逆に27%も値上がりした。なぜか?
これは原油価格ではなく、「円安」の影響だ。ウクライナ侵攻時は1ドル115.2円だったのが、足元では1ドル158円台である。それゆえ原油の値下がりの恩恵は、日本には届かなかった。代わりに燃料油激変緩和、いわゆる「ガソリン補助金」の投入でしのいできたというわけだ。
ガソリン価格は今後どこまで上がるのか。2つのシナリオを考えたい。
ケース1は、原油価格が米・イラン作戦前の約64ドル/バレルから、ウクライナ侵攻直後の93ドル/バレル水準へ上昇すると仮定し、現在の為替レートの157円が維持された場合を想定した。
ケース2は、原油価格がウクライナ侵攻直後よりもずっと値上がりし、さらに原油高が日本経済を直撃して円安が1ドル163円に進んだ場合。つまり、ケース1よりもネガティブな想定だ。そして3月9日午後時点では、こちらのシナリオが現実味を増している。それぞれ試算すると、どうなるか。







