考えると言っても、その内容は様々です。何も常に難しいことを考えているわけではありませんが、通勤中は意外とわれに帰れる時間なので、いろいろなことを考えています。

 不思議なものです。周りは騒がしいのに、かえってそれが自分の思考に集中させてくれるのです。

 しかも、そういう時によく、いいアイデアが浮かんできます。神の啓示、とまでは言いませんが、今までも新たな本の構想や研究テーマが浮かんできました。ハイデッガーの哲学の道ではありませんが、そういう人は決して少なくありません。

 さて、自分にとっての通勤をポジティブにとらえ直し、その通勤時間を目一杯楽しむことを主目的として、住まいを決めてみたら、いったいどうなるでしょうか。もしかすると、今とは異なる選択肢が浮かんでくるかもしれません。

 まずは、自分にとって最適な時間距離の選択について考えているわけですが、これに関してはびっくりするような発想の転換もありました。

 私の友人には新幹線通勤をしている人が何人かいますが、彼らは異口同音に「この時間はかけがえのないものだ」と言います。新幹線に乗っている時間は45分から1時間くらい。新幹線の駅から自宅までが15分程度。東京駅から職場までが同じく15分といったところでしょうか。「新幹線はわが書斎」とまで言い切る人もいました。

 そう言えば、「新幹線、水割りあれば走るBar」という川柳もありましたね。

 もう少し現実的に考えるなら、ラッシュアワーをどう回避できるか、乗り換えはできるだけ少なく済ませたいといった点でしょう。乗り換えターミナルの途上に楽しい地下街がある、電車からの景色に癒される、そんなところから引っ越し場所を探すというのも悪くない考えだと思います。

 例えば、私は中央線に乗って西に帰る家路が好きです。一番の理由は車窓から見える風景です。夕暮れ時はとても美しいですし、逆に朝早いと朝焼けも見えます。私にとって、そうした景色がサードプレイスを彩ってくれる条件であり、通勤価値(という言葉を作りました)の一つです。

 そんなふうに自分なりのこだわりを決めてみる。そしてサードプレイスたる通勤路を選び、そこから最適なわが家の場所を探すというわけです。