横浜市みなとみらい地区で来夏、結婚式場戦争が勃発する。
紳士服の「AOKI」で知られるAOKIホールディングス傘下の結婚式場運営会社、アニヴェルセルが100億円の巨費を投じて、2013年夏に2つのチャペルと7つの宴会場を持つ延べ床面積約1万7000平方メートルの特大ゲストハウス(邸宅風式場)をオープンさせるのだ。
みなとみらい地区では、横浜ロイヤルパークホテル、パンパシフィック横浜ベイホテル東急、ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテルの“ハマの三銃士”が結婚式・披露宴市場を主導してきたが、式場運営大手のベストブライダルが10年春に同地区を見下ろす高台に6つのゲストハウスで構成される自社最大施設「伊勢山ヒルズ」をオープンさせ、すでに激戦状態にある。アニヴェルセルがそれを上回る規模で出店してくるとなると影響は必至。アニヴェルセルの新施設一つで3ホテルの合計に迫る年間1200組の挙式を見込んでいるのだ。
じつはほかにも、神奈川県が地元のブライダルプロデュースがみなとみらい地区に延べ床面積9000平方メートル超のゲストハウス建設を計画している。もともとは今年末にも開業する予定だったが、アニヴェルセルの動きがあり、いったん見送った。今のところ年内着工、来年夏頃の開業となりそうだ。
アニヴェルセルは2000年代初頭からのゲストハウスブームに乗って成長。現在13施設で売上高233億円(12年3月期見込み)とAOKIの主力である紳士服事業の4分の1ほどの規模にまで育ってきた。国内紳士スーツ市場が過去15年足らずで半分以下に縮小するなか、AOKIにとっては期待の子会社。とはいえ、アニヴェルセルの企業規模からすると新施設は社運をかけた巨額投資だけに失敗は許されない。「なりふり構わない集客策を講じるはず」とホテル関係者も警戒を強める。
横浜の結婚式場関係者にとって、来年は暑い夏になりそうだ。
(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 田原 寛)